地球村の相互理解と繁栄:リベラルアーツの精進と実践の日記

地球村の相互理解と繁栄:リベラルアーツの精進と実践の日記

通算97か国訪問し農村・スラムから先端企業徹底取材。年間読書700冊、映画・海外ドラマ200本、博物館・美術館100回、パフォーミングアーツ50回目標。世界の行方を模索し続ける。

豊岡演劇祭の一環で開催さえれた「中貝前豊岡市長と思想家内田樹氏の対談」に出席ました。

 

場所は料亭を改修した「とど兵」という伝統ある場所。

 

同日に出石永楽館で歌舞伎を演じた片岡愛之助さんが藤原紀香さんとサプライズ登場もありました。

 

中貝氏がおっしゃっていたことで印象に残るのは、

 

「僕自身多くの作品を見てきた。理解できないものも多い。けど「こんなのでもいいのだ」という感覚は培われた」

 

という言葉。

 

アートが多様性を育むということは間違いないですね。

 

デズモンド・シャム著「レッド・ルーレット」を読みました。

 

上海の貧しい教員家庭で育った著者が、ビジネスで成功の過程とその後の様々な出来事を赤裸々に執筆した書籍です。

 

・2017年9月、元妻で共同経営者のホイットニーは突然消息不明になった。

 

・毛沢東が死んだ翌年、上海のすべての小学生は同じ学年を繰り返した。毛沢東の生涯を記念する行事に膨大な時間を使ったので全員の勉強が遅れてしまったのだ。

 

・新しい法律を作る時には、意図的に広いグレーゾーンを設け、当局が誰かを起訴したいと思えば、いつでもできるようにした。

 

・中国で起業家が成功するのは、党と利害が一致した時だけだ。体制の内部に支援者が必要だ。

 

・元妻のホイットニーも私もランチに1000ドル以上使うことに抵抗はなかった。それは2000年代に中国でビジネスをするためのコストだった。大きな理由は中国の面子と言う概念だ。

 

・中国でビジネスをする賢明な方法は、何かを作り、それを売ったら、お金をさっと取って、また投資をすること。

 

中国のビジネスを知る上での必読書ですね。

 

 

 

ミシェル・フーコー「監獄の誕生」を読みました。

 

・絞首刑のような見せしめは18世紀に終わった。

 

→公開ではないので見せしめではないのですが、21世紀の日本でまだ絞首刑がありますね。

 

・フランス革命までは身体刑の占める大きな役割が見て取れる。

 

→同著が指摘する通り、身体刑から魂を罰する刑への変化が見て取れるのだ。

 

・残忍さには残忍さで報いるわけでない。

 

→まさに「目には目を」ではない、新たな啓蒙的思想と思います。

 

・フーコーの言う監獄とは、人間の意志や多様性を統制し、国家の機構に組み込む監獄と処罰による権力のメカニズムを探求する思想書(解説)。

 

さすが世界的名著、読み応えありますね。

NHKであるドラマの裏側を紹介していました。

 

お風呂の番台の小物についても、1個1個本物や本物らしきものを使っているとのこと。でもそれら小物はテレビにはほとんど映らないのです。

 

でも、そこまでのこだわりは視聴者にはつたわるのではないでしょうか。ごくわずかに見えた時に感じる何かがあるのです。

 

これを私の本業に置き換えると、「執筆や授業、ワークショップにおいて見えないところでも圧倒的に準備をする」ということになると思います。

 

そして独自性を出すために頭をひねるのです。

 

大事な点であると思います。

 

ゲーテの紀行録「イタリア紀行」を読みました。

 

。今私に重要なのは五感が把握した印象である。書物や絵画からは得られない。

 

→五感での直接体験を重視していることが良くわかります。

 

・創意と模範のいずれが芸術に多くの利益をもたらしたか。

 

・芸術は人生と同じく、深く入れば入るほど広くなっていく。

 

・すべてが移ろいゆく状況になっても、最初にあった状態からなかなか抜け出せない。

 

→まさに慣性の法則だと思います。

 

・イタリアのように感覚的な国民のもとで生活することは内面的にいかに自分のためになるだろう。

 

・あらゆる思い上がりを完全に捨てる。

 

・プロテスタント的なディオゲネス主義のもとで大人になったのでカトリックの荘厳さは失うものが多い。

 

→プロテスタントの真髄を見る思いですね。

 

・イタリアは、知識人、王侯貴族、芸術家にとってあこがれの地。(解説)

 

・ローマに足を踏み入れた日が第二の誕生日であり、真の再生が始まった。

 

・ゲーテは、イタリアで素描を描き、謙虚な姿勢で絵画と古典芸術を学び続けた。(解説)

 

・解剖学の知見を美術に生かした。

 

すでに文豪の地位にあったゲーテ。学ぶ姿勢が凄いですね。

フランスで140万人が大喝采を送った「ダンサーインParis」を見ました。

 

映画『ダンサー イン Paris』公式サイト (dancerinparis.com)

 

バレエ一筋でオペラ座で主演を務めるまでになったエリーズ(マリオン・バルボー)。公演中の怪我でバレエも恋も失うことに。ブルターニュのアルバイト先でコンテンポラリーダンスに出合い、怪我もほぼ完治。新しい恋人を得て、新たな出発に…。

 

バレエとコンテンポラリーダンスの双方が存分に登場する贅沢な時間です。

 

美を極めるバレエと魂を解放するコンテンポラリー。

 

フランスはバレエとダンスの国ですね。

 

 

豊岡演劇祭のプログラムとして城崎国際アートセンターで開催された「弱法師」を見ました。

 

深夜の交通整理の仕事から帰る夫を待つ専業主婦の妻。二人の間にようやくできた息子に喜ぶのもつかの間で、妻(母)が死亡。新たにやってきた女性と息子との間で性的関係が生まれ…。

 

文楽の形式を参考にした人形劇形態の劇です。

 

赤裸々な描写が可能なのも人形だから。

 

人間と人形の境目が分からなくなる。

 

大変に衝撃的な名作です。

ジャズ好きで、ジャズバーに行くことが良くあります。

 

ジャズの魅力はその融通無碍さ。

 

時々の状況に応じて、演目や演奏の仕方が変わる。

 

食事やお酒と共に楽しめるのがいいですね。

 

クラシックコンサートでは、食事もお酒もNGなので、その違いは大きいですね。

 

 

フランスの17世紀の啓蒙思想の思想家ヴォルテール著「寛容論」を読みました。

 

・自死であれば、死体を馬で引きずって辱めを受けるべき。

 

→自殺に対する厳しい態度が見て取れますね。このような考えは、キリスト教社会ではありえます。

 

・15世紀末のローマ教皇アレクサンドル6世は、教皇の地位を金で買い、愛人に生ませた5人の息子が利益を分け合った。

 

→まさに宗教改革前夜、教皇が信頼を失っていたのでしょう。

 

・戦争というのは、信仰というよりも土地の帰属権をめぐるものである。

 

・「助言せよ、強制するな」

 

・「魂の病は、暴力や強制で癒されるものでない」

 

などなど。

 

近代に繋がる啓蒙思想が伺えますね。

上映中の映画「バカ塗りの娘」を見ました。

 

舞台は弘前。津軽塗の職人を父(小林薫)に持つ美代子(堀田真由)。不器用であるが津軽塗には強い関心を示す。父と母は離婚。兄は同性愛でロンドンに渡り同性婚をする。廃校になった自分の母校の教室にあったピアノの漆塗りをすることで漆職人、漆アーティストとして大きく飛躍して、海外からも注目されるようになり…。

 

バカ塗りという言葉から連想されるように、何度も何度も塗るのが津軽塗の特徴。手の賭け方は半端でない。手を使って徹底することが大いなる差別化になるのでしょうね。

 

不器用なようで実は大成する。

 

大変にお奨めです。