Global知見×Local実践:国際教養を高めるための精進の日記

Global知見×Local実践:国際教養を高めるための精進の日記

通算96か国訪問し農村・スラムから先端企業徹底取材。年間読書700冊、映画・海外ドラマ200本、博物館・美術館100回、演劇・コンサート50回目標。コウノトリで有名な兵庫県但馬の地を拠点に「新しい地球文明のあり方」を模索する。

伊藤貫著「歴史に残る外交三賢人」を読みました。

 

ビスマルク、タレーラン、ドゴールについて外交の賢人として、その歴史的偉業を振り返り、現代の我々に示唆を与えてくれる書です。

 

・国際政治の本質は、古代ギリシャ・ローマの時代から現在まで、常に無政府状態である。真の強制執行力を持つ世界政府、世界立法院、世界裁判所は一度も存在していない。

 

・どの民族、どの文明の価値判断が正しいのか、ということを判断できるのは、神が仏のみであり、自民族中心的な思考のバイアスから逃れられない人間には不可能な行為である。

 

・リアリズム外交に聖戦的・十字軍的な普遍的正義や好き嫌いの情緒は不要である。

 

・ビスマルク曰く「列強諸国は、自国の利益になる時は、国際法や条約を守るが、自国の利益にならないと思えば、あっさりとそれを無視しして、武力に訴える。

 

→19世紀のビスマルクの言葉が、今回のウクライナ危機にもすっかり当てはまりそうですね。

 

・第1次大戦後のヴェルサイユ体制も、第2次大戦後のNATOやECも、「ヨーロッパの際強国ドイツが、2度と暴れ出さないようにする拘束しておきたい」という願望からできたもの。

 

・ドイツ文明は、多数の優秀な学者・思想家・芸術家を生み出してきた高度に洗練された文明であるが、同時にしばしばゲルマン蛮族的な侵略性と野蛮性を発揮していた。(キッシンジャーの議論から)

 

・ビスマルク曰く「戦争は外交の手段に過ぎない。戦争に勝つこと自体は、外交の目的ではない。戦争で大勝利して敵の領土を占領することは、その後の外交政策にとって望ましいことではない」

 

・ビスマルクは、自国の領土と勢力圏の拡張に明確に反対していた。そのため帝国主義と拡張主義を望んでいたドイツ軍部と頻繁に対立した。

 

・ビスマルクは、戦争後の外交体制をどう構築するかに常に熟慮していたので、敵を叩きのめす全面戦争を嫌った。

 

・タレーランは、神学校で神学の勉強を怠けて、ひたすら哲学書、政治思想書、歴史書を読みふけった。

 

・外交論争というのは、真剣で高邁な議論であるように見えながら、実際にはその場その場の政治的都合でもったいぶった態度で知的根拠が希薄な理屈をまくしたてていることが多い。

 

→深く同意ですね。自然科学と違って、根拠は自国に有利な思いつきや作文ですね。外交というこのような低俗性を国民はもっと理解すべきだと思います。

 

・タレーラン曰く「真の国益とは、領土を拡張することではない。経済活動によって国富を拡大させることだ」

 

・ドゴール曰く「人間も国家も虚栄心と恐怖心、そして他者を支配しようとする本能的な欲望によって動かされている」

 

・キッシンジャー曰く「21世紀の国際政治は、ウィルソン的な国際協調体制ではなく、むしろドゴールが予測していたような多極構造下におけるバランス・オブ・パワー体制になる」

 

領土拡大の意味のなさ、相手にも花を持たせる重要性など、学ぶことがたくさんあります。

 

長坂真護著「サステナブル・キャピタリズム」を読みました。

 

ガーナで廃棄ゴミを基にアートを作り、ガーナを、世界を変えようとしている長坂さんの新しい資本主義の形について提言です。

 

・ガーナでは、廃棄物の収集で、がんになり危険を冒しながら低賃金で多くの労働者が従事している。

 

・僕の収入は、作品の売り上げの5%と決めている。残りは、ガーナの廃棄物廃棄場所でアグアグボグブロシーの環境、労働問題を解決するための事業に投資している。

 

→売上の一部しか収入にしないことで、話題を作り、高価な作品として売り上げている。

 

・政治的な奴隷制度に代わって、経済の奴隷制度が現存している。

 

・マルクスが、150年以上も前に、資本に蓄積には、直接的であれ間接的であれ、搾取が伴うと指摘していた。

 

・精神性をマネタイズした企業が成長する。

 

→まさしくマーケティング3.0、4.0の世界ですね。いかに世界に良いことをしているかについて多くの人に聞いてもらう、知ってもらう、行動してもらうかが大きなポイントになるのでしょう。

 

・アートは、いにしえから人間の根源にあり、パラダイムシフトや新しいイデオロギーが生まれる時に、必ずといっていいほどアートが見直される。

 

・成功した人はみんな気付いている。成功は遠いところにあるのではなく、実は背伸びしたら届くところにある。

 

・文化、経済、環境を回すサステナブル・キャピタリズムの時代が来る。

 

アフリカなどの現状を変えるには、何が必要かと実践ととおして考え抜いた書籍。

 

アートを通じて、世界を変えることができるという勇気を与えてくれる好著です。

 

・ガーナの現状を知り、どうにかして環境を変えたい、彼らの生活を取り戻したいという自分でも抑えきれない激情が、僕の才能を引き出してくれた。

 

 

兵庫県立美術館で開催中の「彫刻の中のかたち」に行きました。

 

兵庫県立美術館で年に数回開催されている触ることができる展示です。

 

視覚障がいの方の鑑賞を念頭においている展示会でもあります。

 

ロダンなどを含む彫刻が7-8点展示されていました。

 

中にはベートーヴェンを形作った作品も。

 

触ることで、作家の息遣い、作品の発する息吹が感じられます。

 

我々は、視覚と聴覚に頼りすぎた生活をしているのではないでしょうか。

 

五感を刺激する展示に感謝です。

藤田令伊著「現代アート、超入門」を読みました。

 

現代アートについて、素人目線で理解の方法を伝授してくれる好著です。

 

・絵画は、ルネサンス期に独立したアートとして確立して以来、基本的にどれだけ巧みに三次元の現実を二次元に描き写すかを追求してきた芸術である。すべて絵画にリアリティを持たせるために編み出された技術である。

 

・現代アートは伝統に縛られない。

 

・セザンヌは、自然を球や円筒や円錐として見極めよと述べている。これは知性の目で絵を描くことを唱えたと言って良い。

 

・カンディンスキーは、具体的に何が書いてあるかわかる絵は、実は絵画の真の美を邪魔しているのではないかと考えた。

 

・カンディンスキーは、芸術は作家の内的感動を表すものと述べており、作品を通して、同じ感動を画家と鑑賞者が共有することが芸術の意義と考えた。

 

・20世紀に入り、考え方が芸術の本質であるとの考えが生まれた。

 

・何がアートかではなく、いつアートになるかが問題になる。

 

・主題を卑近な物事に求め、さして価値あるとは見られてこなかったものへ積極的に目を向けるポップアートが台頭した。

 

何でもあり、でも深い、それが現代アートなんですね。

 

 

キム・ヨセフ著「僕は脱北Youtuber」を読みました。

 

10歳で路上生活者、18歳で1回目の脱北失敗。23歳で脱北して現在は日本で暮らすYoutuberの壮絶体験記です。

 

・健全な思考と前向きの気持ちがあればできないことはない。

 

・1990年代の北朝鮮では、牛泥棒と電線窃盗には、反逆罪と殺人罪と同じくらいの重い刑罰が科されていた。公開処刑が行われてきた。

 

→牛は重要な労働の糧、電線はお金になったらしい。

 

・北朝鮮に生まれると大多数の人は海外の情報に触れることがない。自国の矛盾に気づくこともない。

 

・北朝鮮では、「敵を憎悪せよ」という歌があるくらい憎悪が蔓延していたが、「敵を愛し、自分を迫害する人のために祈りなさい」(マタイ福音書)という言葉が世界観を変えてくれた。

 

何があっても前向きになれる、そんな本ですね。

 

 

国際政治のあり方を鋭く理論化したモーゲンソーの「国際政治」を読みました。

 

モーゲンソーは、ドイツ出身。戦時中にナチスから逃れアメリカに移住しました。

 

・政治家は、力として定義される利益によって思考し行動する。

 

・善良な動機は、意図的に仕組まれた悪い政策を防止する。しかし、これら善良の動機は、それが生み出す政策の道義的善と政治的成功を請け負うわけでない。

 

→国際政治では、善良な動機であっても、相手国のパワーポリティックスに巻き込まれて無残な結果になることがある。過度の宥和政策などがそのような結果を生むことがある。

 

・経済学も政治学も信頼できる予言が不可能である。

 

→人間の宿痾である私利、心理をどのように捉えるかということは容易ではないことが背景にある。

 

・国際政治は、他の政治と同じく、権力闘争である。究極目的が何であれ、権力は直接目的である。

 

→確かに、権力闘争であると思う。しかし、国際社会は政治だけでない。気候変動など地球的利益もある。その点を含めて多面的に見ていく必要があるのではないか。

 

・どんな種類の軍隊も、政治目的は、相手国に対して、軍事力の行使を危険と認識させてその使用を防止することにある。

 

・太刀打ちできないほどの力とその力が自制されていることが威信政策が可能になる。

 

・圧倒的な要因を単一の要因に求めてはいけない。

 

→国際政治は常に多面的に理解することが必要ということであろう。

 

権力闘争である点と地球的視点をどう両立するのかという点に改めて示唆を与えてくれます。

 

上映中の「沈黙のパレード」を見ました。

 

東野圭吾作で、福山雅治演じる物理学者・湯川学が難事件を解決するガリレオシリーズ第4作。

 

サスペンスものも、創造力活性化?のためにたまには見ようと思って見ました。

 

歌手志望の女子学生が殺害された上に放火で焼かれた形で発見されて、その家が実家である容疑者鷺沼が容疑者として逮捕。しかし、黙秘で証拠が不十分で釈放。その鷺沼は、お祭りの最中に何者かに殺害され、女子大生の家族や関係者の容疑が疑われるが、事態は思わぬ方向に進展して…。

 

という展開。

 

サスペンスにありがちな不自然な展開(なぜ著名音楽家があんなことをするのかなど)はあるものの、人間の弱さ、ずるさ、思いやりなどは割と描かれていると思います。

 

大変にお奨めです。

ジョージ・ケナン著「アメリカ外交50年」を読みました。

 

アメリカ外交を学ぶための古典的名著です。

 

・米西戦争を分析したところ、真剣で注意深い考慮はあまりなく、国益を順序だてて慎重に考察することもなかった。

 

・正しい統治は、被支配者の合意にあることに基づいて建国されたアメリカが、米西戦争の後、フィリピンを併合しようとした際に、アメリカは一体いかなる権利によって、帝国的権利を行使して、彼ら自身の感情に関係なく、被支配者をして組織内に包摂できるのかという意見が出された。

 

→他の帝国主義諸国と違うアメリカの深い見識が感じられる見解ですね。

 

・いかなる場合でも他国民に対して保護者的な責任を引き受けないことであり、軍事的占領の場合もできる限り避けるべきであり、絶対的に必要な期間以上すべきでない。

 

→戦後のアメリカは、このケナンの指摘を忘れて、アフガニスタンやイラクをはじめ多くの国で保護者的な責任を引き受けてうまくいきませんでした。

 

・2回の世界大戦は、ドイツの行動を矯正して、何か違ったものに変えることを目的として行われた。

 

・1913年の論文で、当時アメリカの外交官であったルイス・アインシュタイン氏は、英独の敵愾心が深刻なこと、戦争が突発的なことから発生する可能性があること、そのことがヨーロッパの平衡と安定に対する脅威になることを示した。

 

・第2次大戦前、空軍と陸軍の圧倒的部分が、ナチス、ソ連と日本にあった。西側民主主義国は圧倒的に劣勢であった。ナチスとソ連が手を組んだ場合には、西側民主主義国は相手を倒せない。一方が西側と組んだ場合のみ、個別に倒すことができた。

 

→この見解は初めて聞いたが、当時の西側諸国の恐怖心は甚大であった。

 

・1999年のポーランド、チェコ、ハンガリーがNATOに加盟した時、ケナンは90歳を超えていたが、「ロシア人はいずれ強く反発するであろう。誰が、誰に対しても脅威を与えていないのに、全く不必要なことだ」と述べた。

 

→現在のウクライナ戦争を予見している慧眼にはただただ脱帽です。

 

・過去の重大な過誤は、国際問題において法律家的・道徳家的アプローチをしたこと。

 

→相手の利害を含め、複眼的に考察することが重要なのですね。

 

現在の国際政治を読み解く際にも重要な視点がたくさんあり、ビジネスパーソンにもお勧めです。

開催中の豊岡演劇祭で平田オリザ作・カミーユ・パンザ演出「思い出せない夢のいつくか」を見ました。

 

場所は、城崎国際アートセンター。ここはアーティストたちが自分たちの作品を作り、残す代わりに、滞在費は無料の施設です。

 

俳優と若い付き人、マネージャーの3人の電車の旅。かつては売れていた俳優。離婚を経験したマネージャー。俳優になりたいがうまくいかない付き人。お互いの過去の身の上話などを語り合う。宮沢賢治の銀河鉄道のようにいつしか、夢の宇宙の世界に…。

 

全編フランス人俳優がフランス語で、でも日本国内の場面設定で舞台は進みます。他言語演劇の世界です。

 

光を使った演出も秀逸でした。ジェームズ・タレルのような深遠さでした。

 

 

ゴンブリッチ著「美術の物語」を読みました。

 

その中世部分からの面白い点をまとめました。

 

・仏教は、絵を描くことに対する深い尊敬の念を生み出した。これは、古代ギリシャにも、ルネサンス以前のヨーロッパにもなかった。画家は霊感を受けて創作する詩人と対等だという考えは最初に中国に現れた。

 

→この点は意外でした。東洋の方が画家の地位は高かったのですね。

 

・芸術家は、独創性を持つべきだというのは、近代人の考え方だ。中世の職人は、教会の形や聖杯のデザインは新しくしようとは考えない。

 

→中世の芸術家は独創性を求められなかった。だから職人という地位に置かれたのであろう。

 

・エジプト人は知っていること、ギリシャ人は見えているものを書いた。中世の芸術家は感じていることを描いた。

 

・ロマネスク様式の教会では、太い角柱が円形アーチを支えた。重厚で力強い影響を与えた。装飾はわずかで窓さえほとんどない。

 

・ゴシック様式の聖人像はまるで生きているようにひとつ一つ掘り出されている。ギリシャ彫刻のように、衣服の下に肉体を感じさせる。

 

・円形アーチでは一定の高さ以上にはできない。円形アーチに拘らず二つの円弧を上でつなぐゴシック様式が生まれた。アーチの角度を変えて、高さを自由自在に変えた。

 

・フィレンツェの画家ジョットは、ゴシック彫刻の写実的な人物像を絵画の世界に持ち込むことに成功した。

 

中世のアートはやや地味な印象もあるのですが、徐々に発展してきていることが分かりますね。