「紫式部日記」:豊かな教養と鋭い観察力 | リベラルアーツの精進と実践の日記

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山本淳子編「紫式部日記」を読みました。

 

・万が一の場合に備えて、中宮様は一時だけ出家の形をとる。

 

→死の直前に出家をする習わしであるが、出産が命掛けであるということでもある。

 

・清少納言ときたら、得意顔でとんでもない人だった。あそこまで利口ぶって漢字を書き散らしているが学識は足りない。

 

→この日記の執筆時では、すでに清少納言が使えた定子は亡くなっており、清少納言は落ちぶれていたとも言われる。その状況でこの書き方は、紫式部のよほどのライバル心があるのであろうか?

 

・道長さま曰く「源氏物語の作者のお前は好きものと評判だ。口説かずに見過ごす男はおるまいと思うがどうか」という歌をくださるので、私は「私には殿方の経験など全くございませんのに、どなたが好きなものなどと噂を立てているのでしょうか」と返した。

 

→大河ドラマ「光る君へ」の紫式部と道長の恋愛の根拠となる文章である。求愛は一度は断るものなので、この後の展開は後世の我々には確実には分からない。

 

豊かな教養と鋭い観察力の文章が光る。