161ヶ国目モンゴル️自転車冒険旅★5日目 | 地球一蹴、ちゃりんこ世界一周の旅 ー Rio Cycling Around The Earth

地球一蹴、ちゃりんこ世界一周の旅 ー Rio Cycling Around The Earth

2007年3月9日より 約9年をかけて157ヶ国155,502kmを走る。
I am traveling around the world, over 157 countries on a bicycle from 2007 to 2016.

★Around The World : 3,401 days    : 世界一周3,401日間  

☆161 countries : in Nagano, Japan.    : 161カ国目・現在地:日本 長野県  諏訪地方

★Total Distance 158,406k km                : 総走行距離:158,406km

 

【161ヶ国目🇲🇳モンゴル🚲🏕️自転車冒険旅★5日目】

 

「敵とは何か」

 

 

Erdenesant, Töv, Mongol→ Ulaanshiveet, Bulgun.

5日目距離:42km. 獲得標高:330m

トータル距離:339km. 獲得標高:3,300m。

 

ハイライト動画↓

 

昨晩はガソリンスタンドのおっちゃんから紹介してもらった廃墟を風からの盾にして、テントを張った。

それでも台風なみの風で、テントのフライシートが外れていた。

気温-10℃。

テント内の水も、寝袋内で湿気を帯びた靴下やインナーシャツも凍結していた。

寒い日のパッキングは、外に出るのに勇気がいる。

乾いた寒風は、冒険家の心を削っていく。

いつものように野犬達が私を発見し、集まって来る。

野犬にも2パターンある。

テリトリーが追い出しに来る奴か、飯が欲しい奴か。

今回は後者だ。

後者の場合は、人の子供と同じように会話をして、帰ってもらえる余地がある。

野犬対策は水を吹きかけることだが、荷物もあって、しかも相手が徒党を組んだ5匹の場合は、さすがに危険だ。

「ご飯はないよ、帰ってくれ」

ボス犬らしい一匹は理解して翻っていった。

しかし、1番小さくていかにも下っ端のチンピラ犬が、隙を見て私のグローブを一つ持って行った!

「返せ!それがないとマジでこの先進めない!凍傷間違いなしなんだ!」

条件がカオスに一変した。

5匹の野良犬の中での秩序も乱れ、吠え合い、私のグローブも奪いちぎり合っている。

「マズイ!」

咄嗟にカバンからパンを取り出して遠くに投げつけた。

何秒間の間の格闘後、グローブを離した。

すかさず回収。

自分が朝食も取れずに急いで撤収。

今までの経験値バイアスで、油断をしていた。

休む間もなく、次の敵がいる。

西の大陸から地自転を利用した偏西風が、何千kmと真っ平な土地を走ってくる。

ようやく169cmの小さな突起物にぶち当たり、全エネルギーをそこで発散する。

今日は最大風速17m/sの爆風と、アイスストーム。

結果的に、普段の3分の1の40kmを9時間かけて進んだ。

風のせいでハンドルもままならない。

振動が蓄積し、関節と言う関節の肩や腰や膝や尻が悲鳴を上げる。

口の中にタオルを突っ込まれているように、風が入り込んで来て息苦しい。

こんな時はチューブレスレディの良さが出るはずが、いかんせん2.5リム幅タイヤは太過ぎて裏目に出た。

途中は歩くしかないほどの強風の場面もあった。

パタゴニアのRuta40、ウユニ塩湖の塩の道、チベット高原、西アフリカの砂漠。

風の大地の名所は色々あるが、モンゴルも加えてあげても旅人冒険家界で、異論は出なさそうだ。

たまたま今日が『春一番』なのか。

体感気温は−17℃と、天気レーダーに出ている。

運動しているから、汗は出る。

その汗がインナー側から凍り、身体を冷やす。

海のないLooked country(内陸国)の風は、切れるように乾燥している。

その上、標高1,300mの高地での陽射しは、北風と太陽の絵本以上に旅人や冒険家を苦しめる。

末端神経の手足が痺れて痛い。

中枢神経が生き残りをかけて、肉体のコア機能を維持し始めた。

血液循環を促すためにも水分を入れなければならないが、寒さから拒否してしまう。

排尿も悪くなり、出すたびに烏龍茶色だ。

モンゴルを走り始めて分かったが、モンゴルは町から町までに他の国より分かりやすく、人が住んでいない。

水と食糧計画をミスった。

不安になる。

それでも容赦なく、寒さと疲れと飢餓で低血糖、脳の意識低下で眠くなる。

村で手に入れたドライフルーツを大量に摂取し、意識を保つ。

40kmで唯一見つけたのが、廃墟とその前にあるゲル。

蜃気楼かと思ったが、そこは実在した。

「助かった。」

助けてくれたのは、チベタン風の男性。

 



陽射しを浴びて生き続ける彼らの顔は、登山家と同じように高所焼けの肌だった。

廃墟の中でバーナーで、温かいラーメンを食べる。

 



死ぬほど美味いとは、肉体がそう言わせるのだと知った。

一度安全地帯にいると、次にペダル回すのに勇気より覚悟がいる。



16時に町に着いた。

レストランに駆け込み、ゴアンズ(定食屋)に入り、日本の定食料理と馬入ティーを頂く。

モンゴル人はみんながモンゴルレスラーかと思うくらいの量を食べる。

今の私の空腹ぶりは、レスラーだった。

 



日没まで、押して進もうと思えば、あと10kmはいける。

ただ、なんとなく冒険家と旅人の直感で、今日はここにステイしろと言われている気がする。

キャンプできる場を探す。

付近でキャンプ地を探すか、ミスコミュニケーションの違いもあって、一度荷物を出して、さらに撤収すると言う、1番やりたくないパターンの失敗を起こす。

「今日は本当についてないな。」

行き彷徨って、ローカルマーケットを発見。

あまりにま空腹過ぎて、食べて心が満たされており、食糧と水の確保を忘れていた。

ローカルマーケットは、売っているものも面白い。

ローカルのおばちゃんは、世界中どこも可愛い。

「あ、なんだか今、旅人に戻ったな。」

冒険家フェーズでいると、生きることに必死で、ついカリカリしてしまう。

「落ち着こう。必ずいいキャンプ地は見つかる。」

一度話しかけて、キャンプ出来そうな場所を教えてくれたおじさんが、私がトボトボとキャンプ地を探している姿を再発見。

彼が次に案内してくれたのは、なぜか使われなくなった銀行の横にある民間だった。

出てきたおじいちゃんは、顔の皺に人生の生きろを感じさせる。

よく見ると、おじいちゃんと言うほどの歳ではない。

中東系の鉤鼻っぽさもあり、中央アジア系のモンゴロイドと、旧ソビエト圏系アングロサクソンのミックスの顔をしている。

人の良さは、目のたるみ具合でわかる。

彼は私を家に招き入れ、個室を用意してくれた。

「今、自分は完全に旅人の顔だな。」

人生と一緒だ。

冒険のように目的地があって急ぐばかりでは、大切なことを見落し、見失う。

目的地もない旅のような時に出逢う人や自然も、大切。

つまりは、人生には旅も冒険も2つ必要なのだ。

そんなことを彼らのウェルカム塩ティーを飲みながら、イマココの瞬間を愛しながら感慨にふけった。

「敵は何か?戦いとは何か?」

チベット仏教地にいるからなのかもしれないが、やはり敵も戦いも存在しない。

そこにあるのは、自分の魂。

自分の魂の声を聴くこと。

モンゴルに来て5日目。

自分は旅人であり、冒険家である事を取り戻していく。

やっぱりモンゴルに来て良かった。

出逢った人とのサインTシャツも増えていく。

 



そして辰野町からのミッション「ど真ん中&辰年記念」缶バッチを友好の証に配っていく。

 



さー、これからも旅と冒険だ!

イマココにある全てのものに感謝。

旅人であろうと、冒険家であろう、いずれにしろ自分は今、いい顔をしている!