暁の光…「夜明けの光芒」東京初日。 | Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

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鑑賞は生中心主義。自分の眼でライブで見たことを中心に、語ろうと思います。



2024年6月14日13時公演

チャールズ・ディケンズといえは私にとっては「二都物語」。母が、ロンドンとパリの話よ、と教えてくれた。
なにやら(ロンドンぽく)暗い話で、あんまり好きになれなかったような気もするのだが、物語の力なのだろうか、結局最後まで読んでしまってラストには「ひえー」でした。岩波?いや新潮かな?文庫の上下、チョコレート色の想定を今でも覚えています。

ディケンズ=国民作家なんだそうで、日本でいえば司馬遼太郎みたいなもの?いやちょっと時代が違う…菊池寛あたりでしょうか。

とか、つい作家のこと書いてしまったのは、まあ物語(と主演)の力でなんとかエンタメ的成立、になってるこの「夜明けの光芒」(大いなる遺産)ではありますが…うーん、なんか納得いくような、いかないような。
主演の力がめちゃくちゃ大きいのも宝塚歌劇ならでは、なんだけど。ありちゃん以外ではどんな風になったんだろうと思うと…なんだかトホホ。
ありちゃんに成長物語を重ねる…といっても、もはやスタンバイオッケーの2番手ですからね。その昔若き日の天海さんが新人公演主演したみたいだけど、それならぴったりだったろうなー…たなどと思ったりする。

「夜明け」=暁、でこのタイトルでもあるんだろうが、なんだって夜明けなのかもう少し伏線欲しい。

堅牢たる階級社会であるイギリスの描出はあんまり楽しくないし(笑)、「紳士」たるべし、が物語の軸なのはわかるけど…そもそもイギリスでの「紳士」と日本の一般市民における「紳士」の意味が違うんではないですかね?異文化理解なかなか難しい。

話は面白い(多分。原作読んでないが)のだから、もっと冒険譚ぽくスリリングにできたらよかったよねー。
歌は昔のままなのかな?あまりいい意味でなく、クラシカル…。

と、脚本にはなんだかぶつぶつ言っております、すみません💦初日観られたくせに文句言うな、ですよね。ありちゃんのご挨拶によれば、東京初日なのにあと9回、なんだって。み、短い…。
これも働き方改革なんですかねー。それとも会場が取れなかったのか…。

瑠璃はなかちゃんはとても綺麗で、優等生ぽく瑕疵なし。も少し個性が欲しいところだけど初の別箱ヒロインですよね、おめでとう!

天飛さんは期待どおりの変な奴で、なんかのぞみさん思い出しました(←褒めてる)。でも、実在するライバルが自分の「闇」なの?いや、ライバルに自分の闇を見たのかな?難解だわー。
てか、宝塚てきにはつい黒天使その他を思い出しちゃうものね、正しい理解の妨げ。
ありちゃんとのダンス場面はなかなか見ごたえありました。

三番格と思われる稀惺さんは相変わらず端正ですねー端正すぎていつも、顔が覚えられません。ポジションでやっと思い出す。
組長とてもいい役。
輝咲さんも、ヒール独り占めの彼女にしてからが、これほどいい役はそうそうないのではないでしょうか。

そして…暁の一番星たるありちゃんですけれど、とにかく見映えがして素敵。衣装も似合うし科白は月仕込みだし、歌もよい。
階段上に登場したときの存在感ときたら。羽根もないのに羽根が見えた。これぞセンター役者。
そしてフィナーレのソロダンスですが、友人曰く
「これで全て回収」
いや、ほんとに。
同時に観てるわけでもないのに、トップスターたることちゃんと全く違う…真逆?タイプのダンスなのが歴然で、思わず笑みがこぼれてしまいました。違うタイプだから面白いのよね。

音楽をとらえて、長い手脚をのびのび使ったポーズ、大きなジャンプ、回転…。広い空間を支配する舞踊。
「シアターオーブ」でやってる公演での振り付け、リズミカルな動きの「その場での」群舞と対極ですよね。あちらは「時間」をつかまえて戯れているという感じ。

こんなダンサー二人独占してる星組、幸せ者です。

そして、こんな短い公演を観られた私も幸せ者。ありがたや。あんまり文句いうものじゃありませんね。

それにしても…「フィリップ・ピリップ」って不思議な名前。何かのなぞかけ?早口言葉?