バレエ公演を観に行ったはずが…セントルイス・バレエ&フレンズ | Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

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鑑賞は生中心主義。自分の眼でライブで見たことを中心に、語ろうと思います。


2024年5月31日18時30分公演
@めぐろパーシモンホール
 
友人(元セントルイス在住)が個人的に手伝っているこの公演、わざわざ来日してるのにたった1日しかないという…なぜだ。
なにはともあれ、ありがたく行って参りました。
 
堀内元さんはバレエファンの中ではレジェンドのお一人。なのですがお若い頃からアメリカに渡ってしまわれ、残念ながらほとんど(私は、ですが)実際に見る機会はなく…ご活躍を噂で聞くばかりでした。
やはりアメリカのカンパニーはヨーロッパやロシアのそれらより日本公演少ないものなー。
彼がヨーロッパでなくアメリカに赴かれたのも、今よりずっとヨーロッパのカンパニーは差別がきつかったんだろうし、若い国の若いバレエなら、と思われたのかもしれない。
NYCBで初のアジア人プリンシパルになり、その後セントルイス・バレエの芸術監督を24年(!)務められています。
 
で、彼が連れてきたダンサーたちの競演、「誰々と仲間たち」みたいなユニット公演だと勝手に思っていたのですが…。
 
もちろんそういう面もあったけど、正確に記すと日本人ダンサー(アンサンブル)が10名強(いつ選んだのだろう)と主役級2人、そしておそらくその世界では著名なのであろう、徳家Toya敦さんという音楽家、そして4人編成のバンド…さらにはなんと剣幸さんまで登場されるという、びっくりなセッション!
どうりで、柿の木坂をのぼって会場に来る途中、「この人たちみんな観客よね?いや、いつものバレエ公演と客層違うんですけど?」だったはずだ…。
 
堀内さんを認め、登用したというバランシンの作品からはじまって、いかにもなコンテンポラリーがひとつ(振付はブライアン・ノイス)。
休憩後は、たっぷり音楽を聞かせていただいて、最後は待ってましたのバレエ「セントルイス・ブルース」(組曲)という構成でした。
 
とにかく音楽が素敵でかっこよくて、ああ、いいなーと。ライブハウスで聞いているみたいだった。
徳家さん(という呼びかたでいいのかな)のピアノの自在な響き。サックスの山崎ユリエさんもばしっと決まってかっこよかった。
最後の「ブルース」は、もともと労働歌なのにクラシックバレエの技術で振りをつけ、表現する…というなんとも難しそうな試みなんだけど、なかなか嵌っていました。ブラボー!です。
 
堀内さんのダンスは…なんというのか、さすがに若い人にはジャンプの高さなどではかなわないのだけど(←そこで勝負してない)、ほんっとうに形が綺麗で、音楽にぴたりと乗っていて、行き届いていて…美しいのひとこと。これにはどの若いダンサーも顔色なくすという感じでした。すごい。
どれだけ節制して、バレエにいろいろなものを捧げているのだろう。

ヅカファンなら一度は名前を聞いたことのあろう剣幸さんは、最後に熱唱。お歳が信じられない美貌とスタイルでした。
(しかし、いったいどういう繋がりでここに…?)

音楽もバレエも歌もステージングもすごく楽しめて、くたくたになった金曜日の夜、上質のアルコールをご馳走になったような。
そしてなんとなく、いろんなものを楽しめるように育ててくれた親に感謝する気持ちになった…唐突に、なんだけど(笑)

ひとつだけあれれと思ったのは、やはり関係者というかそれぞれのお知り合いの来場が多かったのかな、チケット引き換えの列が大層長く、またそのオペレーションがのんびりしてて…プロのスタッフじゃなかったのか…?開演時間に間に合うのか、はらはらしてしまいました。
チケット販売システムとか使っていなかったのだろうか。1日だけの公演だから?
やはり興行っていろんな意味で難しいのね…特に今は都内の劇場、めちゃくちゃ不足しているらしいし。

まあそれはともかく、素敵な公演でした。若い頃の堀内さん、観たかったな。