れいこ姫のこと | Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

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鑑賞は生中心主義。自分の眼でライブで見たことを中心に、語ろうと思います。

5月12日月組大劇場千秋楽は、母の日だったので配信も観られませんでした。

東京まで待っての楽しみにしようと、みなさまの感想を楽しく拝見!素晴らしい千秋楽だったようですね。


そして、見ていないのをいいことに、サヨナラショーではなくれいこちゃんそのひとのことをちょっとだけ…。

私の勝手すぎる想い出なので、諸先輩方にはお許し願いたく。勘違い、思い込みも多々あるかと思います。


れいこちゃん、あんなに堂々とした男役なのに何故か「姫」と呼びたくなる。

それは誰よりも美しいから。この花園は美女やら美人やら可愛いこちゃんやらブサカワちゃんやらの大集合大集団なのですが、彼女、月城かなとは本当に美しい。

佳人・麗人・美人というけれども、最上位が佳人なのなら、その称号を献上したいです。宝塚の佳人、と。


私が彼女を認識したのは、おおかたのファンと同じく雪の「Shall we dance?」で、今も友人たちに名言と褒められる(笑)「どこにこんな美人隠してたんだよ」という感想でした。

その頃の雪組は誰が見ても、ちぎちゃん→「いずれは咲ちゃん」で、そのあとのこととかあまり話題に上らなかったように思います。

そんな時、いきなり出現した月城かなとさま。

…あんまり上手く言えないのですが…ファンも(組子さんたちも?)みんな「ああ、そうだよね」と、一斉に道をあけた…ごとき印象があります。モーゼの前に海が割れたように。

とにかく美しくて、浮わついてなくて、フェアリーとも違う血肉を備えた、存在感があった(と思う)。


そのまま彼女は、まるでずっと前からそうだったようにいわゆる「路線さん」のポジションで活躍を始めた…。

それは、彼女の2期下のザ・御曹司、永久輝さんがフィーチャーされ始めても、遜色なかったと思います。麗しの2人。


印象深いのは「恋の大和路」の与平とか、るろ剣の蒼紫…かなあ、やはり。そうそう、わが贔負のぞみさんの、雪に来たばかりのときの役、いつものようにヘンテコな「カリオストロ伯爵」の新人公演役もやって下さってるのですよね!

綺麗で演技力もあるので、コメディもしれっと演じておかしみ抜群だし、和物も超絶麗しい。


4年前に書いたれいこちゃんのこと


そして、あれよあれよというまにバウのダブル主演(withひとこ)を経て、月に転出していってしまった…あーさとのバーターです。

私は、月でトップになりに行くんだな、と思った。全国から石を投げられるの承知でいうならば、あーさではみやちゃんを抜けないけど、れいこちゃんなら抜ける、ということなんだと、私は当時理解しました。あ、いえ、誤解なきように。力量とか美貌とかではなくて、その時点でのキャリア、格付け的に、です。

この頃の月組人事は混迷していた…のはもうひとつのサイドストーリー。


そして月組の3番手になって以降のれいこ姫は、広く知られるとおり。美貌と芝居の力、そして芝居心溢れる歌でめちゃくちゃ安定感のあるスターさんでした。

歌は…いやまあ、ほんとに上手くなった。もちろんもともと下手ではなかったけど…もはや「れいこ節」といえるくらいに特徴的で聞き甲斐があり、勝手に涙が噴き出してくることがしょっちゅう。科白と歌が地続きな、ほんものの演技者だと。


彼女を見ていると、なんでこんなに美しい人が宝塚を志してくれたんだろう…といつも思うんです。芸能人になりたい…みたいな直裁的で俗っぽい欲を、彼女からは感じない(…のは私だけ?)。

彼女がそうしてくれたから、いまこのどっしりした、情感溢れる月組の舞台を観ることができる。それはとても幸せなことなんだけれど、なんだか信じられない…そんな風に思う。

れいちゃんは、存在自体稀有でこういう世界だから生息してる…むしろ現実に戻るのが信じられない。こっちゃんは宝塚経由しなくてもこの界隈で生きていたでしょう(子役もやってたし)、でもれいこちゃんは…。


彼女の5作卒業を惜しみつつも「らしいな」とも感じる。この人が「トップスター」という座に長くいる図を、私は全く想像できませんでした。

壮さん、ちぎちゃん、のぞみさん…と傍目にはあっさりと去っていった、彼女の先輩たちのことも思い出す。

男役の彼女を見られるのも1ヶ月と少し…。


他のスターさんたちに比べて、中に近い人たちからの「こんな人なんだって!」みたいな話はあまり聞きません。まあ、私がそういうツテが薄くなってるのもあるかもだが。

熟考型の、静寂な人なのかもしれない。


ただただ、1ヶ月少しの宝塚舞台を全うしたのちは、遠からずそのお芝居と美貌を見せてほしい。

これからどうするのだろう、とか全然思わないままそれを期待してしまう、稀有なトップスターさんだと思います。

彼女の前に拡がる道は、宝塚歌劇から地続きにストプレや映像に繋がっていると思えるのです…私には。


東京でお待ちしています、れいこ姫。

きっと私は静かに泣くだろうと思います。宝塚の佳人が永遠に去ること…それが悲しくて。