勘三郎追善公演に感無量。 | Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

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鑑賞は生中心主義。自分の眼でライブで見たことを中心に、語ろうと思います。



2024年2月17日11時公演


十八世勘三郎の追善公演。
第一部「野崎村」
第二部「釣女」
第三部「籠釣瓶花街酔醒」

勘三郎死去を知った瞬間は、いまでも覚えています。私が知ったのは朝のニュースで、コンテンツには入っておらず「速報」といった感じのテロップで流れてきたと思う。
彼は入院はしていたけれど手術は成功と報じられ、回復して復帰すると誰もが信じていたのに…茫然として、声もなかった。
もう、十三回忌とは…。

第一部は、お光の中村鶴松がよかったなー。勘三郎をして「3人目の息子」と言わしめたという、部屋子出身の逸材。仕草も表情も可愛く健気で「久松(七之助)よ、こっちのほうがよくないか?」と思ってしまったwww七之助はなんとも情けない色男でした。

第三部「籠釣瓶…」はなんと実話が元になってるというのでびっくり。花魁に恥をかかされた商人が彼女に復讐するという物語だけど、勘九郎が素晴らしくて唸りました。いままでそんな風に思ったことなかったけど、父上に似てきたような…あそこまで愛嬌駄々漏れじゃないけど。
人柄も気前もよい次郎左衛門が豹変するところは、なんというのかしら…お芝居の面白さということを全身で感じ、目が離せなかった。狂気なのか怨嗟の果てなのか…あの殺気。

次郎左衛門に一太刀で殺される花魁八ツ橋は七之助で、本当に綺麗。つんと澄ました花魁道中やら思惑たっぷりの微笑みやらは実に美しくて、玉三郎がいろいろ教え込んでるというのも納得です。ずば抜けて麗しい。
なんだけどね、愛想尽かしの場面でのあーだこーだという科白の時には、表情が「男だ」と思わされた。それがいいのか悪いのかわかりませんけど、女の怖さというより怒った男の表情筋の動きだったなーと。怒りに男も女もないのかもしれない…が。

ぐんぐんよくなってる橋之助も頑張っていた。
時蔵さんも相変わらずの芝居巧者。

さて、それだけじゃございません、ここにはなんと仁左衛門さままでお出になっていて(花魁八ツ橋の情夫役)、もはや問答無用の色男っぷり。
彼は勘三郎が次郎左衛門をやったときにも演じていたらしく、親子二代の相手役をしているのですね。

そうそう、歌舞伎座の二階には、亡き勘三郎がこの追善公演でかかっている作品あれこれに出演した際の写真が飾ってあって…。なんか、泣けました。
早くに逝ってしまった彼はいかにも惜しい、惜しすぎるけれど、息子たちが志を継いでいますよ…。
世襲には悪いところもよいところもあると思いますが、こういうところはほろりとしますね。

いい公演でした。夜の部も観たいのだが、今月はバレエやら出張やらでもはや無理。連獅子見たかったよー。