雑話269「高騰するアート その訳とは?」
昨年も世界のアートオークション市場では、高額な作品が数多く落札されました。
特に、一回のオークションでの売上高記録を更新するなどした、コンテンポラリーアートの好調さが際立ちました。
さて、2014年で最も高額な作品となったのは、そんなコンテンポラリーアートの作品ではなく、モダンアートの彫刻作品でした。
アルベルト・ジャコメッティ「チャリオット」1950年
アルベルト・ジャコメッティの「チャリオット(二輪戦車)」は昨年11月にニューヨークで開催されたサザビーズのオークションにて、1億96万5千ドルで落札されました。
当時の為替相場1ドル116円で計算すると、約117億円を超える強烈な価格です。
アルベルト・ジャコメッティは、20世紀に活躍したスイス出身の彫刻家で、針金のように細い彫刻で有名です。近年では、ジャコメッティの作品は人気が高まり、数億円で取引されることも珍しくはありません。
それでも、オークション史上2番目に高額な彫刻作品となった訳ですから、ジャコメッティの作品の中でも特別な価値があるに違いありません。
サザビーズによると、1940年代後半から1950年代前半は、ジャコメッティの「偉大な時期」とされており、「チャリオット」はその頃制作された作品の中でも最良のものだとしています。
オークションの下見会場で「チャリオット」を見る女性
しかし、こうした著名な芸術家の作品が高騰しているのは、単に質の高い美術品の需要が高まっているという理由だけではないようです。
経済ジャーナリストのフェリックス・サルモンは、高額の美術品市場が金持ちの虚栄心を競う場となったとして、以下のように説明しています。
”アートマーケットは華々しい消費の舞台となった。
1億ドルの彫刻は、贅沢品市場の中でも究極の贅沢品といえよう。
(それは)ブガッティ※1に乗って訪れた客を出し抜く、金メッキされたオモチャである。
このクラスの芸術作品は、一目でわかるほど特徴的だ。
ジャコメッティ(の作品)を見れば、一瞬でジャコメッティだと分る。
それはもう(一種の)ブランドだ。
オークション市場の中の高額品について知識がある人であれば、チャリオットを見れば、「チャリオットだ、1億ドルの彫刻だ」と驚くことだろう。”
※1 フランスの高級スポーツカー
実際には、100億円の美術品を購入する人々の動機も様々でしょう。
もちろん、サルモンのいうような動機の人もいるでしょうが、自慢する以前に作品のことが心配で夜も眠れなくなるのでは、などと思うのはやはり庶民的な感覚なのでしょうか?

