雑話237「ルノワール 陽だまりの裸婦」
昨年の10月に印象派の巨匠ルノワールの晩年を描いた映画が日本で封切られました。
映画の宣伝用ポスター
「ルノワール 陽だまりの裸婦」と題されたこの映画は、全国の映画館で公開されましたが、あまり話題になることもなく上映終了となってしまいました。
ストーリーは、ルノワールとその次男のジャン、そしてモデルのアンドレの人間関係を中心に描かれています。
実話に基づいているだけあって、派手な演出もなく、ヒット作になる要素が少なかったのかもしれません。
ルノワールの三男クロード、通称ココ
それでも、印象派の絵を思わせるような美しい映像は素晴らしく、またルノワールという画家を理解する上でもいい手助けになると思い、今回ご紹介することにしました。
映画全体を通じて明らかになるのが、ルノワールの決して恵まれているとはいえない晩年の生活です。
この頃のルノワールは美術界における巨匠としての地位を確立し、暖かな南仏の保養地であるニースにアトリエを構えて、幸せな絵を描いていました。
ルノワールと妻のアリーヌ
※晩年はずっと車椅子で移動していました
しかし、ニースに移り住んだのは、リュウマチの病状がひどくなったせいで、映画の中でも何度も発作に苦しむシーンが登場します。
さらに、長年連れ添った妻のアリーヌを亡くし、ルノワールだけでなく、家中が暗く沈み込んでいました。
息子のジャンがルノワールの手に絵筆を添えるシーン
そんな中、リュウマチのせいで歪んでそり返った上に、絵筆の柄を持っただけで擦り傷ができる手に、掌に薄い布きれを巻いてもらってまでして、ルノワールは絵を描き続けるのです。
映画ではそうして描かれた成果として、今日オルセー美術館に所蔵されている「浴女たち」を紹介しています。
ピエール=オーギュスト・ルノワール「浴女たち」1918-19年
この「浴女たち」のモデルであり、ルノワールに描くインスピレーションを与えたのが、主人公の1人でもあるモデルのアンドレ、通称デデです。
彼女はルノワールが生涯のあいだに使ったどのモデルよりも、光を吸い込むような肌をしていたとされています。
モデルのアンドレ
このアンドレ役の女優も素敵ですが、実際のアンドレも美しい女性だったようです。
映画では描かれませんが、次男のジャンは実際アンドレと結婚して、彼女を主演にメガホンを取ったくらいですから。
実際のアンドレの写真
その他にも映画の中では、ルノワールの様々なエピソードが披露されます。
中には映画の設定時期ではないエピソードもありますが、そうしたエピソードから、ルノワールの人柄や芸術に対する考え方が伝わってきます。
映画の公開はもう終わっていますが、すでにDVD等の形で購入することができます。ご興味をお持ちの方は一度ご覧になってはいかがでしょうか?






