絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話 -4ページ目

雑話274「今、世界でHOTな日本美術 白髪一雄」

具体美術という名前をお聞きになったことがあるでしょうか?


1954年に当時の前衛画家であった吉原治良を中心に、兵庫県の芦屋市で結成された具体美術協会が推進した美術運動です。


「人の真似をするな。今までにないものを作れ」という吉原の指導のもと、近代美術を継承するのではなく、断絶した表現を追求しました。


これまで注目を浴びることの少なかった具体美術でしたが、近年その評価が高まってきており、日本のみならず海外でも注目されるようになってきました。


具体のスター、白髪の作品を背に競りを仕切るオークショニア、サザビーズ・パリ

最近では、具体美術は戦後の美術運動の中で最も先駆的なものの一つと考えられるようになっています。


その中でも、具体美術を代表する画家となった白髪一雄の人気は急速に高まり、この春にも多くの展覧会がアメリカで開催予定です。


京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)で日本画を学んだ白髪は、卒業後洋画に転向して人物画や風景画を描きましたが、既存の絵画に満足できなくなり、様々な描画手法を試みました。


そして、指や掌で直接絵具をのばしたり、爪で引っかいたりする作品を経て、足を使って描くという前代未聞の手法にたどり着きました。


独自に考案した手法で制作中の白髪一雄

白髪は床にキャンバスを敷き、自分自身を天井からつるす装置を使い、絵具をつけた足先を振り回して、跳ね上げたようなアラベスク模様の作品を作り出したのです。


白髪の評価が高まるにつれ、作品の価格もうなぎ上りとなりました。


昨年の6月にパリで行われたサザビーズのオークションにて、彼の「激動する赤」という1969年に制作された作品は、390万ユーロ、日本円に換算して約5億4590万円で落札されました。


白髪一雄「激動する赤」1969年

※390万ユーロ、約5億4590万円で落札

これは、オークションで落札された白髪作品の最高落札価格となりました。


浮世絵以外、これまで高い評価を得ることの少なかった日本の美術が海外で高く評価されていることは、日本人としては非常に嬉しい限りです。


しかしながら、印象派などの定番の投資対象だった美術作品の多くが美術館などに収まり、質の良いものが市場に出回らなくなったことで、投資家たちが投資の対象を拡げている影響もあることでしょう。


今後もこの傾向が続くと思われます。今まで過小評価されてきた良質な美術作品は、値上がりが期待できるかもしれません。


ご自宅の倉庫の奥にお祖父さんが残した美術作品が眠っているという方、一度整理がてらに覗いてみてはいかがでしょうか?