絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話 -19ページ目

雑話259「終わらないアートバブル」

今年の11月12日にニューヨークで開催されたクリスティーズのコンテンポラリーアートのオークションは、1回のオークションでの売上高の最高記録を更新しました。




クリスティーズの記録更新は、2013年の5月から4期連続となり、今回の売上金額は8億5288万7千ドル、日本円で約980億円という途方もないものです。


ちなみに、昨年1年間の日本の美術オークション全体の年間売り上げが122億7600万円ですから、単純に計算しても、一晩で日本の美術品オークション市場の8年分を売り上げたことになります。


それでは、その晩の売上金額トップ3をご紹介しましょう。


最も高額な落札作品となったのは、アンディ・ウォーホルの作品で、カウボーイの格好をしたエルヴィス・プレスリーを描いたものです。


アンディ・ウォーホル「トリプル・エルヴィス」1963年

落札金額は81,925,000ドル、約94億2千万円でした。競りは4800万ドルから開始されましたが、多くの入札者によってあっという間に競り上がり、最終的に7,300万ドル、約84億円で落札されました。


落札金額はこの入札金額に手数料を加えたものですから、この作品の手数料は、8,925,000ドル、約10億円になります。


2番目に高かったのもウォーホルの作品で、「ワイルド・ワン」という映画で主演したマーロン・ブランドを描いたものでした。


アンディ・ウォーホル「4つのマーロン」1966年

落札金額は69,605,000ドル、約80億円でした。実は、「トリプル・エルヴィス」もこの「4つのマーロン」も、落札予想価格は7,000万ドルでしたが、結果的にはプレスリーの作品の方が高く落札されることになりました。


この2つの作品は、オークション会社やアートディーラーたちが何年も前から目をつけていた有名な作品で、今回初めてオークションに出品されたのでした。


両方とも、前のオーナーはドイツでカジノを運営する、ドイツ政府が管理する企業で、1970年代の購入価格はエルヴィスが85,000ドル、マーロンの方が100,000ドルだったそうです。


つまり、40年ほどでエルヴィスは858倍、マーロンが620倍ほどになった計算になります。


実は、この夜に2番目に高く落札された作品はもう一つあり、3番目の作品はありません。


それは、日本ではあまり馴染みのないサイ・トゥオンブリーというアメリカ出身の芸術家の作品です。


サイ・トゥオンブリー「無題」1970年

「無題」と名づけられた作品は、黒板に白いチョークで乱暴に円を描いただけの絵画ですが、オークションにおけるこの作家の最高落札価格を更新しました。


落札価格はもちろん、ウォーホルのマーロンの肖像と同額の69,605,000ドル、約80億円でしたが、事前に予想された落札価格は3500万ドルから5500万ドルでしたから、大幅に予想を超えたことになります。


このサイ・トゥオンブリーの作品を含め、この晩に作家別の最高落札価格を更新した作品は15点もありました。


さて、この夜に出品された80点のうち、2点が事前に出品中止になりましたが、75点が落札され、落札率は93.7%でした。


落札された作品の落札予想価格の合計を、不落札も含めた全出品作の落札予想価格の合計で割った金額ベースの落札率は、それを上回る97%にもなり、この夜の好成績を反映しています。


また、落札予想価格が1000万ドル以上の作品が20点もあり、この夜のオークションに出品されていた、コンテンポラリーアートの傑作に対する需要の高さを物語っています。


世界経済の先行きが不透明な中、コンテンポラリーアートの市場の活気はまだまだ続きそうな勢いです。