善意でコーティングされた自己責任の社会 | ワンラン日記

ワンラン日記

愛知県岩倉市八剱町「ワン学習塾」の日記。
さらに、代表・犬童の「ラン日記」の二本立て。
2017年は記録足踏みも2018年こそ目指せサブ3!
BEST:10km…40:01 ハーフ…1:26:45 フル…3:10:55

 

一昨日私立高校の推薦入試が終わりました。そして昨日に合格発表がありました。

合格者の皆さんおめでとうございます!春からの輝かしい新生活になることを応援しています!

 

ただここからは今日だからこそ書くブログでもあります。

 

ほんの一部の難関校を除けば100%合格の試験です。一世代前はそれでも「不合格だってあり得る」なんて噂が飛び交うこともありましたが、今はそんなことも無くなりました。12月の初旬に受験校が決まって以降は学力を上げるよりも余計な言動をSNSにアップしないことが大切になっています。これは2つ前に書いた記事に繋がる話です。

 

 

2,3割くらいの中学生は11月の期末テストから高校最初の5月の中間テスト(Ⅰ期テスト)までほとんど勉強しない状況が生まれています。学力的には最も伸びる学齢である子が多い時期なので勿体なく感じます。プレッシャーがかからない状況、合否が絡まない状況をプラスに捉えて中学卒業ないし高校入学に向けて日々学んでほしいですね。指針が必要であれば英検や漢検の準2級の勉強、数学は相似と三平方の定理加えて関数をしっかりできるようにして高校に進むことをお勧めします。

 

愛知県の高校入試および地域の中学校の日程は以下のように流れます。一部変更点も示します。

 

4月7日頃 入学式、始業式

4月20日頃 PTA総会

4月25日頃 単元テスト(2,3年のみ、1学期中間の代替、50点満点で順位や平均点発表無し、内申には定期考査の半分)

5月中旬 3年修学旅行、2年野外学習、1年遠足

6月1日頃 1年部活本入部(従来は5月15日頃)

6月10日頃 上級学校説明会

6月20日頃 1学期期末テスト(従来は6月30日頃)

7月5日頃 保護者会(従来より1週早い)

7月1~2週 部活動管内大会(従来は7月22日頃)

7月20日 終業式

 

9月1日 始業式

9月3日頃 実力テスト・課題テスト

9月20日頃 体育祭

9月30日頃 2学期中間テスト(10月半ばの中学も)

10月15日頃 2年職業体験(中学によって実施時期さまざま)1年3年遠足(3年は廃止の学校増加)

10月25日頃 3年実力テスト

10月30日頃 進路説明会

11月1日頃 文化祭(合唱コンクール兼ねる中学は2日間)

11月8日頃 合唱コンクール(従来は12月8日頃)

11月20日頃 2学期期末テスト(従来は11月30日頃)高校提出の内申点がほぼ決定

 

11月24日 愛知県民の日で休み(2023年から)

12月7日頃 保護者会(従来より1週早い) 私立高校の受験校決定

12月22日 終業式

 

1月9日 始業式

1月15日頃(従来はこの時期に中3学年末テスト)

1月16日 私立高校推薦入試(従来は1月30日頃)

1月17日 私立高校推薦合格発表

1月18日頃 保護者会 公立高校の受験校決定

1月23~25日 私立高校一般入試(従来は2月5日頃)

2月6日 公立高校推薦入試(従来は3月中旬、平成半ばまでは2月25日頃)

2月14日頃 1,2年学年末テスト(従来は2月23日頃)

2月22日 公立高校一般入試(従来は3月中旬で2日間×2校)

3月6日 卒業式

3月8日 公立高校合格発表(従来は3月22日頃)

3月22日 修了式

 

学習面の重要イベントを太字、私が不満に感じている部分を赤字(従来とは2年前までのこと)、それ以外の大きな節目を青字にしました。

 

まず中3生においては高校入試が半月~1か月早くなりました。「新生活に向けての準備の期間を取った」という触れ込みでしたが、2年間指導して感じるのは後半の単元がただただ詰め込みになってしまうことです。英語の関係代名詞以降、数学は三平方の定理、理科の天体や社会の公民の後半半分の内容が本当に駆け足で進みます。そして2年前までは1月15日前後に学年末テストがあったので終盤の単元を定着させる機会がありましたが、今は最後の定期テストが11月22日には完了してしまいます。以降の内容についての勉強は本人たちに委ねられています。

 

これは不可解なんですよね。現在の学習指導要領は質量ともにハードな内容です。しかしながら習得するべきデッドラインの期日が早くなっています。例に挙げた中学校はこれを解消するべく1学期の中間テストを廃止して単元テストに切り替えたのでしょう。しかし順位や平均点が発表されないなんとも締まりのないテストに感じました。加えて2年生時の学年末テスト以降に習った内容の定着が甘くなった印象もありました。これは教員の働き方改革にも原因がありそうです。この点は分かるんですけどね、錦の御旗みたいに「働き方改革」って言われると、改悪であっても何も言えなくなる雰囲気がちょっと。。と感じております。

 

そしてこれも賛否あるのでしょうが、今の時期の欠席が非常に増えたそうです。不登校や体調不良ではなく「もう内申も出たし、学校行っても仕方がないでしょ」という理由で休む子がクラスに数人いるようですね。私としてはこれも良い変化とは思えないですね。

 

またあまり気付いていない方も多いですが、部活動の最後の大会も時期が前倒しされています。以前は夏休みに入るタイミングで地域の大会でしたが、実施が早い子だと6月中に終わる生徒もいたりします。1学期の期末テストの後から3週間ほど最後の活動に精を出すものでしたが、大分その期間が縮小された感じです。加えて秋の行事も前倒しされています。こちらの学校だと合唱コンクールが1か月きっかり早くなりました。その分増えたのが入試後の登校回数ですね。色々と中学生活を味わう行事が縮小された分が卒業式の練習で相殺されている感じです。昨年卒業の生徒に聞くとこの時期の欠席も多いようですしね。

 

1年生の入部する時期も遅くなりました。1学期の中間テストも遅くなったので入学直後は相当ゆるゆる日程です。以前は「中1の5月6月問題」がありました。新しい人間関係、暑い中の長時間の部活動、初めての定期テスト。これらの洗礼を一気に受けるからです。「まあ大変ですが皆が通ってきた道。ここを乗り越えると強く逞しく中学生らしくなりますよ。無理のない範囲でフォローします!」と話してきましたが、そのケアはあまり必要ない感じの期間です。寧ろ小学校時の方が大変だったと錯覚するような時期になっています。

 

いくつか挙げてきましたが、基本的には「生徒たちの負担減」の仕組みが日程上様々な所でされています。しかし何かを得ようと思ったら必要な能力の閾値は上がっているのが現代です。中堅校に進むのは楽になりましたが、上位校のハードルは上がっています。何かのスポーツを中学から趣味の範囲で行う領域は減少し、早い段階から計画的に行わないと旨味を得られにくい構造になっています。そして暇な時間を無為に埋めるスマホやネットやオンラインゲームが生活のあらゆる領域に。

 

これが今日の題名である「善意でコーティングされた自己責任の社会」です。この仕組みに早く気付くか、全く違うルールの価値観で中高生活を送っていくかを考えた方が良いでしょう。ワン学習塾ではこのコーティングを剥いで小学校高学年~高校生に見せることも大切な役割だと考えるようになりました。共感される方は是非一度ドアをたたいてみてください。