2002年の6月18日の夕方、今は無き国立競技場にて、
「死ぬまでに日本代表がワールドカップを掲げるのを見たい欲が生まれたなあ!」
言葉の相手はまなびカレッジの横山先生だった。
まだ当時は「先生」ではなく「学生」だった。
雨のパブリックビューイングを見届け、初めての決勝トーナメントで敗れた日。
もう1度だけ国立に足を運んだことがあった。
2006年1月9日。少し遅めの正月休みに東京旅行に行った際、
たまたま高校サッカーの決勝戦をやっていた。
高校野球の観戦には20回ほど甲子園に足を運んでいるが、決勝戦を観戦したことはない。
高校サッカーはこの時が唯一だが、その1回が決勝だったりする。
目の前で展開されたサッカーは「セクシーフットボール」
その主である野洲高校のエースは乾貴士だった。
16年前に頂点に立つ日本を見たいと言ったものの、
その達成は途方もなく困難だと思い知らされ続けた。
願いは少しずつ形を変え、
「日本が第三国のサッカーファンを唸らせる試合をしてほしい」というものになった。
ワールドカップの日本の試合は、自国だからこそ応援するものの、
一流国が魅せるスペクタクルな興奮に欠けていた。
しかし昨日の試合は違った。
日本-セネガルの非欧州・非南米での覇権争いのようなこのカード。
それこそ欧州や南米の目の肥えたサッカーファンを熱狂させたのではないか。
フィジカルやスピードで勝るセネガルが最初の15分日本に襲い掛かる。
この時間私は「どうすれば勝てるのか?」と途方に暮れた。
0-4くらいの敗戦も覚悟するそんな展開だった。
しかし1点を取ってややセネガルが休んだ時間。
少しずつ日本はボールを回し始めた。
日本のもはや心臓である柴崎から、長友にパスが渡りアジリティーを発揮する。
そして乾の最も得意な角度から、見事にゴールネットを揺らした。
ポストプレーではない日本の得点では、W杯史上最もセクシーなゴールだった。
12年前に国立で躍動した細身の少年が、それを体現したことを嬉しく思う。
後半の最初の15分はむしろ日本の時間帯だった。
大迫の惜しいシーン、乾のゴールバーを叩くシュート。
いつの間にやら前半当初に感じていた「どうにもならない感」は消え去っていた。
しかし強豪国同士の対決は、流れを逃していると逆に入れられるものだ。
悪い予感は的中し、左サイドの隙を突かれグラウンドのクロスが入り、
マークが甘くなった逆サイドから上手くやられた。
この辺りの時間、当然日本を応援するものの少し不思議な気持ちになった。
力の均衡した中堅国同士の素晴らしいゲームを堪能する自分もいた。
そして交代の岡崎、本田の「らし過ぎる」働きで再びの同点。
決定力不足を言われる日本にしては、出来過ぎともいえる見事なシュート。
城が柳沢が外してしまっていたあの頃よりは、
少しだけ世界に近づいた実感を持たせてくれる。
追いつくという新たな日本のメンタリティーを見せての勝ち点1。
平均年齢で相当上回る日本が、若いセネガルよりも最後まで動けていたことに好印象。
そしていつの間にか柴崎岳という、日本史上最高のボランチがいる幸せを感じたい。
大迫は母の二人の妹と高校が同じらしい。
週末に顔を合わせた時に「ドヤ顔」でそんなことを言っていた。
「半端ない」の意味は分かっていなかったが。。
サッカーに全く縁のない年寄りを、あの顔にさせるのがW杯なのだろう。
昨日のキックオフの瞬間、長男は7歳になった。
本人は観戦したがったが、月曜日と言うことで寝かせた。
次は何とか見たいらしい。パパとしては勝ち点「7」が縁起がいいと思っている。
入学式で貰ったアサガオの種が花を咲かせ始めました。
昨日に初めて2輪。今朝は1輪。
昨日の2輪は乾と本田のゴール、今朝の1輪は長男の誕生日を祝福してくれているのでしょう!