中高生の学力を形作る要因として、以下のように考えています。
10歳までに作られた地頭 : 現在の努力 : 性格 = 4:3:3
この中で「性格」という部分が他の人に伝え辛い部分です。
多くの人はこう思うのではないでしょうか?
いい加減な性格の子は、宿題の取り組みもいい加減だし、
すぐサボろうとする子は、授業中に話を聞いていないだろうし、
そういった性格によって、勉強の取り組みに差が付くのでしょう。
これはこれで、全く間違いないのですけれども、答案自体にも性格が表れることがあります。
今日はその部分について、実例を挙げて説明していきます。
現在の中学部の生徒で、難問であってもそこそこ取れるのにも関わらず、
ものすごく基礎的な問題であっても、ポロポロ間違える生徒がいます。
同じ計算問題を10問3日連続でやっても、
8問→5問→7問といったような、よく分からない結果を残します。
テキストでも前のページで正解を出していながら、次のページの同じ問題を平気で間違えます。
どうしても皆の評価では「ミスが多い」とありがちなものになりますが、
原因がそれだけではない気がずっとしていました。
先日ある2次方程式の計算の時に、
この生徒の問題点が浮き彫りになったシーンがあったので、順に紹介しようと思います。
中3生の生徒が最初に書いた計算過程と答えは下の写真の様子です。
(生徒が書いた計算式はもっとぐちゃぐちゃだったので、私が別の紙に書いています)
いくつか突っ込み所があるのですが、6と8のみで約分を行っている箇所が、
間違っていることには違いが無いので、その部分を指摘しようかと思いましたが、
少し前に同じミスをしていることを覚えていたので、
「以前も指摘した所が間違っているよ。自分で気付けるかな」と言って、やり直しをさせました。
ミスを発見して、その箇所を訂正するかと思っていたら、
どうも間違っている場所を発見できなかったようで、
全部消してから、下のように書き直していました。
結果は正解になったのですが、上記の途中式はそのままです。
本人は正解を出したことに満足気でしたが、いくつか質問をさせてもらいました。
「解の公式を使ったことはいいと思うんだけど、その後の式で、2段目から3段目までは「64+36」の計算しかしてないんだよね」
「そうですね」
「それなのに3段目から4段目は平方根を外す計算、約分、分数の足し算、引き算を一気に頭の中でやっているんだけど、なぜそんな一気にしたの?」
「気分です。そんなことまで考えていなかったから」
「今言ったことを整理すると、上では小2の計算の1過程しか計算してないんだよ。でも次は中3、小4、小4とそれよりも高度な計算を3過程も頭でしたことになる。難しい計算なのに一気にやると間違えやすくないかい?」
「それに本当に気分だけかなぁ。計算の余白スペースが下の問題につっかえたから、一気に省略したようにも見えたんだけど。さらに約分するときには斜線で消して、小さくなった数字は書かないの?」
「あれって見栄えが悪いし、小さい数字は見間違えやすいので」
「じゃあ大きく書けばいいじゃん」
観念した様子で「先生の言う通りです」
この会話だけでは表現できない部分があるのですが、
正解を出すことが最も大切な場面において、
見栄えとかスペースとか他の要素を整える方が優先されてしまったり、
途中で「気分」という言葉の通り、途中式の量などもその日その日で違ったり、
こういった部分の改善が最も必要な生徒は意外と少なくありません。
「こんな感じで書けば頭の中で2つずつ計算をしているし、約分の跡も見やすくないかい?」
「計算するときにそんないちいち考えるんですか?」
「逆にスペースがどうとか、約分の数字が見辛いとか、そういうことを考えているのが驚くんだけど」
結局、学習のことを考えるのを面倒がっていたり、
ただ計算するときに、答えを出す以外の要素が頭の中を支配していたり、
これを勉強における「性格」と私は捉えているのですが、
ここを修正するのは結構な時間を要します。
彼もこういった歯車の狂いが修正されれば、結構上位が狙えるのですが。
伸び悩んでいるのが現状です。