皆さんは普段の指導で、何か工夫をしていることはありますか
家庭教師の先生は多くの場合、一人の生徒に週に1~2回の指導をしています。そしてその指導時間は大方1.5~2時間でしょう。いかに効率のよい指導ができるかがとても大切です。
しかし現実では、生徒が勉強に対して前向きであるとは限りませんし、嫌いな生徒も多いでしょう。そうなれば生徒の集中力を持たせるのはとても難しいですし、効率はとても悪いです。
こういった基本的な生徒の態度を改めることも、家庭教師にとっては非常に大切なことで、色々な「工夫」をして伝えていかなければいけません。
特に発達障碍の生徒への指導はこの「工夫」こそが大事なのです。
私も発達障碍の生徒を指導しているのですが、彼らは時に「普通の事」が普通にできない場合があります。敏感に音に反応して指導への集中が一気に途切れたり、おもむろに立ち上がって他事をやってしまったりと、「指導」をするということ自体が難しくなる場合もあります。
でも具体的にどう対処していいかわからない、そんな先生は多いのではないかと思います。そこで、今回はガッツに届く先生の指導から、特に具体的な工夫をしている先生の例を取り上げたいと思います。
ガッツ家庭教師のE先生は現在、発達障碍の中学生の男の子を指導しています。
彼の生徒はまともに字を書くこともできない生徒です。加えて上の例のように勉強への集中がとても途切れがちなようですが、E先生はそんな生徒に対しとても真摯に指導をしています。
以下はE先生の指導の工夫シートから5つ抜粋しました。
【改善点:すぐ立ち上がってしまう】
改善策→立ち上がってしまったら「10数えるうちに戻ってきてください。10,9,8…0!」と言って、できたら「セーフ!おりこうさん。」、できなかったら「アウト!やり直し。」を繰り返し、指示に従えるようにした。最近は3分間タイマーをかけ、その間は座ってもらい、「3分経ったら立ってもいいよ」と言って、こちらから「立ち上がること」をコントロール出来るようにした。すると12/3には指示やアドバイスに素直に従う姿も見られた。
【改善点:ずっと話をしてしまう】
改善策→話を無視すると不機嫌になるし、聞いていると終わりがないため、ある程度聞いたところで「ここが終わったら話します。」「先生の話を無視するなら、N君の話も無視します。」と言って、話と勉強のバランスが少しでもとれるようにした。
【改善点:言ってはいけないこと、やってはいけないことをやってしまう】
改善策→カーリー・ダン・ブロンらの5段階表を参考に、「言ってはいけない」をレベル分けすることで、怒られる言葉をを5段階に分けて表にして渡し、「これは[4]の悪いこと」など割り振るようにした。ゲームが好きなので、そのゲームにたとえて基準を教えていければよいと思う。
【改善点:音楽をかけたいとごねてしまう】
改善策→「音楽は20時になったときと21時になったときだけ。音楽をかけたら音楽プレイヤーのコードを預かります。」と毎回言うようにした。鳴らしたら「アウト!」といって指導、徐々に改善が見られた。
【改善点:読めない字を書く】
改善策→字の大きさをイメージしづらいようなのでなるべくマス目のあるノートを使い、マスがないものはマスを作って大きさを決めることにした。
どうでしょうか。普通、言えば分かることでも発達障碍の生徒さんは難しく感じることがあるのです。E先生の全ての改善策に対して言えることですが、生徒が嫌がらない方法の中で、どうしたらいいかを考え
てシンプルな方法を実践しています。実は、すぐに実践できるシンプルな方法の方が、生徒の成長につながることが多いです。
家庭教師の仕事をする上で、やはり何かしら結果は出さなければなりません。
そしてその結果を生むのは、実はこの様なちょっとした創意工夫なのです。
みなさんもぜひ生徒のために、そんなちょっとした工夫を考えてみてください
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