公正取引委員会は、受注者が発注者との取引で受け取る対価について価格転嫁を促すための指針「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表した。

 

 

上記の指針は、受注者である中小企業・小規模事業者の賃上げの実現を目的としたものである。

 

その中で、「受注者として探るべき行動/求められる行動」として、以下のことが示されている。

 

1.労務費上昇分の価格転嫁の交渉の仕方について、国・地方公共団体の相談窓口、中小企業の支援機関(全国の商工会議所・商工会等)の相談窓口などに相談するなどして積極的に情報を収集して交渉に臨むこと。

 

2.発注者との価格交渉において使用する労務費の上昇傾向を示す根拠資料としては、最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率などの公表資料を用いること。

 

3.労務費上昇分の価格転嫁の交渉は、業界の慣行に応じて1年に1回や半年に1回などの定期的に行われる発注者との価格交渉のタイミング、発注者の業務の繁忙期など受注者の交渉力が比較的優位なタイミングなどの機会を活用して行うこと。

 

4.発注者から価格を提示されるのを待たずに受注者側からも希望する価格を発注者に提示すること。

 

発注者に提示する価格の設定においては、自社の労務費だけではなく、自社の発注先やその先の取引先における労務費も考慮すること。

 

さらに、「発注者が本指針記載の12の探るべき行動/求められる行動に沿わないような行為をすることにより、公正な競争を阻害するおそれがある場合には、公正取引委員会において独占禁止法及び下請代金法に基づき厳正に対処していく。」(3頁)との方針も明記されている。

 

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