釣り用うきの形態を模倣した商品を製造販売することが不正競争防止法違反にあたるとして、釣り具メーカーが損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が大阪高等裁判所であった。(大阪高裁令和5.4.27)

 

判決は、一審判決と同様、不正競争防止法違反(2条1項1号)を否定した。

この判決で注目すべきことは、釣り用うきの商品選択をするにあたっての需要者の視点である。

 

まず、控訴人は、需要者は、うきの選択に際してその形状の微細は差に着目して商品選択をするから、特別顕著であるといえるためには、かけ離れた特異な形態を備えている必要はなく、他のうきにはない形態を備えていれば足りると主張する。

 

しかし。釣り具のうきの形態は、時代によって変化してきているが、その変化は、他の商品一般に見られるように需要喚起のための装飾的観点からのものではなく、

 

より良い釣果を上げるための技術的工夫がうきの形態に反映され、徐々に改良されていった結果であると認められるところ、

 

より良い釣果を求めてうきに対して加えられる技術的工夫は、機能及び効用の側面等から自ずと一定の範囲に収れんすることになるため、商品ごとの形態の差は細部に及ぶ上、その差は微細なものになることが認められる。

 

そうすると、需要者が、より多くの釣果を求めて釣り具の選択をする際、その形状や色彩を釣り具の性能を推知する資料として観察するとしても、

 

もともと形態の差が細部に及ぶ微細なものである上、そもそも外観から観察してうきの性能の優劣自体を判断することは自ずと限度があることから、

 

結局、需要者は、棒うき、円錐うき等といったうきの種類を商品形態によって見分けるとしても、その中で、さらに微細な商品形態の差に依拠して商品選択をするとは考えられず、

 

「それよりも、釣り仲間や雑誌等の情報から得られる商品やその製造者の評判ないし評価を主に参考にして商品選択をしているものと考えられる。」とした。

 

そうすると、上記のような商品群の中における商品選択の在り方を前提にして、商品形態に特別顕著性があるといえるためには、他のうきとはかけ離れた特異な形態であることが必要であって、これに反する前提に立つ控訴人の主張は採用できない。

 

そして、「原告商品が他社うきとはかけ離れた特異な形態であるとも認められないから、その商品形態に特別顕著性があるということは到底できない。」とした。っし

 

一審判決についてはこちらで

 

 

 

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