ツイッターに投稿した写真を氏名不詳のアカウントに転載することが著作権侵害にあたるとして、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報の開示を求めた訴訟の控訴審判決が知的財産高等裁判所であった。(知財高裁令和4.11.29)

 

判決は、一審判決と同様に著作権侵害を認めた。

この判決で注目すべきことは、プロバイダ責任制限法総務省令5号及び8号の意義についてである。

 

まず、1.前記(1)のとおり、省令5号の「侵害情報に係るアイ・ピー・アドレス」とは、「侵害情報の発信者の特定に資する情報」を類型化したものであること、

 

2.前記(1)の法4条の趣旨に照らすと、被害者の権利行使の観点から、開示される情報の幅は広くすることが望ましいが、

 

一方で、発信者情報は個人のプライバシーに深く関わる情報であって、通信の秘密として保護されるものであることに鑑みると、

 

被害者の権利行使にとって有益であるが不可欠ではない情報や開示することが相当とはいえない情報まで開示することは許容すべきではないと考えられ、このことは、侵害情報の発信者によって行われた通信に係る情報であっても同様であること、

 

3.省令5号の「侵害情報に係る」との文言を総合考慮すると、同号の「侵害情報に係るアイ・ピー・アドレス」とは、

 

「侵害情報の送信に使用されたIPアドレスまたは侵害情報の送信に関連する送信に使用されたIPアドレスであって、侵害情報の発信者を特定するために必要かつ合理的な範囲のものをいうと解するのが相当である。」とした。

 

次に、省令8号の「第5号のアイ・ピー・アドレスを割り当てられた電気通信設備、一般携帯電話端末等から開示役務提供者の用いる特定電気通信設備に侵害情報が送信された年月日及び時刻」との文言に鑑みると、

 

省令8号の「侵害情報が送信された年月日及び時刻」とは、「『省令5号』の『アイ・ピー・アドレス』を使用して侵害情報の送信またはその送信に関連する送信がされた年月日及び時刻をいうものと解するのが相当である。」とした。

 

一審判決についてはこちらで

 

 

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