指定暴力団山口組系の幹部に「みかじめ料」を支払わされたとして、愛知県内の事業者が山口組のトップらに返還を求めた訴訟の判決が名古屋地方裁判所であった。(名古屋地裁令和4.9.30)

 

判決は、みかじめ料の返還を命じた。

この判決で注目すべきことは、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効(民法724条)についてである。

 

まず、被告bは、前記2記載のとおり、本件徴収行為2から10までについて不法行為に基づく損害賠償債務を負うところ、

 

被告bは、本件徴収行為2から8までに係る損害賠償債務について、それぞれ本件金銭交付2から8までを受けた日を起算点として3年の時効期間が経過していることから、消滅時効(民法724条)が完成していると主張する。

 

そこで検討するに、民法724条前段にいう「損害及び加害者を知った時」とは、「被害者において、それが可能な程度にこれを知った時をいう。」とした。

 

本件において、被告bの本件徴収行為の2から8までは、暴力団であることの威力を利用して原告から現金の交付を受けたというものであるところ、

 

原告は、被告bと一定の付き合いのある関係にあったといえることからすれば、原告は、被告bの本件徴収行為2から8までに係る不法行為について、

 

「それぞれ被告bに現金を交付した時点において、自己が不法行為の被害を受けており、かつ、加害者である被告bを認識していたといえる。」

 

したがって、原告は、本件金銭交付2から8までのそれぞれの交付時点において、被告bに対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に「損害及び加害者」を知っていたといえる。

 

以上によれば、「被告bの本件徴収行為2から8までに係る不法行為に基づく損害賠償債務は、本件金銭交付2から8までの各交付時点から消滅時効が進行するというべきである。」としている。

 

後の控訴審判決についてはこちらで

 

 

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