今月に、アスベスト(石綿)訴訟の最高裁判決から、共同不法行為責任(民法719条)についてこのようなブログを書いた。

 

 

そこで、共同不法行為の求償権についてこのような最高裁判決があるので紹介したい。

 

まず、甲と乙が共同の不法行為により他人に損害を加えた場合において、甲が乙との責任割合に従って定められるべき自己の負担割合を超えて被害者に損害を賠償したときは、甲は、乙の負担部分について求償することができる。

 

この場合、甲と乙が負担する損害賠償債務は、いわゆる不真正連帯債務であるから、甲と被害者との間で訴訟上の和解が成立し、請求額の一部につき和解金が支払われるとともに、

 

和解調書中に「被害者はその余の請求を放棄する」旨の条項が設けられ、被害者が甲に対し残債務を免除したと解し得るときでも、連帯債務における免除の絶対的効力を定めた民法437条の規定は適用されず、乙に対して当然に免除の効力が及ぶものではない。

 

しかし、被害者が、右訴訟上の和解に際し、乙の残債務をも免除する意思を有していると認められるときは、乙に対しても残債務の免除の効力が及ぶものというべきである。

 

そして、この場合には、乙はもはや被害者から残債務を訴求される可能性ははいのであるから、

 

「甲の乙に対する求償金額は、確定した損害額である右訴訟上の和解における甲の支払額を基準とし、双方の責任割合に従いその負担部分を定めて、これを算定するのが相当であると解される。」

 

以上の理は、本件のように、被用者(E)がその使用者(被上告人)の事業の執行につき第三者(上告人)との共同不法行為により他人に損害を加えた場合において、右第三者が、自己と被用者との責任割合に従って決められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償し、被用者の負担部分について使用者に対し求償する場合においても異なるところはない。

 

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