日本の政治家も捨てたものではない。
故安倍晋三元総理の追悼演説をされた立憲民主党の野田佳彦元総理の演説は、野田佳彦氏にしか出来ない立派な演説だったと思う。
予てからその弁論能力に定評があった野田佳彦氏だが、今日の追悼演説は歴史に残る演説の一つになるだろう。
第一次安倍内閣退陣の際の故安倍元総理の挫折とその時の安倍元総理の心情にもサラッと触れられていたのがよかった。
安倍元総理の政治家としての人生は決して順風満帆ではなかった、ということを簡潔に表現されているから、安倍元総理が大事にされていた「再チャレンジ」というキーワードが一際輝いてくるはずである。
野田佳彦氏が平成24年の解散総選挙で敗れ、皇居での新総理の親任式に前総理として立ち会うこととなった際の控室での二人だけの気まずい沈黙の時間を安倍元総理が自ら破って野田佳彦氏に明るく語り掛けられた、という話も野田佳彦氏にしか出来ないとっておきのエピソードだろう。
「お疲れ様でした。野田さんは安定感がありましたよ。あのねじれ国会でよく頑張り抜きましたね。自分は5年で返り咲きしました。あなたにも、いずれそういう日がやって来ますよ。」
野田佳彦氏の今日の追悼演説によって、故安倍元総理の生前の強さと優しさが多くの国民にしっかり伝わったのではないだろうか。
安倍元総理が沢山の問題を抱えたまま逝去されたという事実は変わらないが、少なくとも私たちは、そろそろ次のステージに移るべきだろう。