共謀罪関連法案の審議入りを目前にしての感想 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

政府与党はテロ等準備罪と呼んでいるが、その内実はかつての共謀罪と本質的には異ならない、というのが私の基本的な見解だ。

対象犯罪を277に限定したと如何にも抜本的にかつての共謀罪関連法案を改定したと説明するようだが、何故対象犯罪を277に限定することにしたのか、という動機が審らかになっていない。

私が衆議院法務委員会の自民党側の理事兼修正案策定の実務上の責任者として修正案の策定作業を進めた時は、共謀罪を創設するとその曖昧さからおよそ重大犯罪に関わりがない一般私人や一般民間団体にまで捜査の手が及ぶ懸念が拭えないために、如何にして捜査当局の捜査権の濫用や不適正な捜査権の行使を防ぐか、という観点から様々な仕組みを検討したのだが、今国会に提出された共謀罪関連法案にはそういう苦心や工夫の形跡が見られない。

単に政府原案のままでは世論の反発を招きやすいだろうから、という理由だけで、共謀を計画、共謀罪をテロ等準備罪と呼び変え、組織犯罪集団という呼び名の上にテロリスト集団等という用語を付加し、更に対象犯罪を組織犯罪集団が犯すだろうと想定される277の罪に絞ってみただけで、捜査権の濫用や不適正な捜査を抑止するための特別の工夫が施されているわけではない。

結局は法の運用や執行に当たる捜査当局の解釈や運用に委ねることになってしまうので、国民の様々な懸念を払拭するようなものにはなっていないぞ、そんな程度でいいのかしら、というのが私の心配である。

立法府が本当の立法機能を果たしていない。
立法府である国会が行政府に過度に依存して、どうも本来の立法審査機能を果たしていないぞ、というのが私の率直な感想である。

現在の自民党の国会議員の中でも色々懸念を表明された方がおられた、ということのようだが、どうも法案審査の第一線にいる方々がご自分の主張にそれほど自信がなく、何となく大勢に押し流されてしまったような観がある。

このままでは反対の意見を言っておいた方がいいかな、とさえ思っている。
野党の皆さんがしっかり問題点を指摘してくれて、法案の修正作業が始まってくれるといいのだが、とも思っている。

数の力でどんな欠陥法案でも通してしまえるのが、今の国会である。
危ないぞ、危ないぞ、と思っているが、もはや国会議員ではない私には何の力もない。

困ったことである。