思いがけないところで告発型選挙戦になった都知事選挙 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

撃たれる(討たれる)のが誰かはまだ分からないが、今回の都知事選挙は珍しく告発型選挙になっている、ということを皆さんお気付きだろうか。

選挙にならなければ出なかっただろうと思うような話が次々と出てきている。

鳥越さんの場合は選挙に出なければ、既に示談解決済みの10数年前の話やらマスコミの世界では相当拡がっていたという下ネタの話など出てこなかったはずである。
火のないところには煙は立たないと言うが、既に火が消えてしまっていた話が蒸し返しになったのは、すべて都知事選挙に出るという話が本格的に決まってからの話である。

公職の候補者を目指さなければ絶対に一般の人々の目に触れず、耳にも聞こえなかったはずのことが、都知事選挙の候補者になることが決まってしまったら一気に噴き出してしまった。
この辺りのことはヤマモトイチローさんが実に丁寧に書いていたから、その業界ではかねてから有名な話だったようだ。
普通に身体検査をしていれば候補者に担ぎ出すことはなかったはずだが、ごく一部の人たちの話し合いでバタバタと決めてしまったためにトンデモナイ間違いをされてしまったようだ。

大人しくしていさえすれば多分ずっと口を閉じておられただろうと思う人が、居ても立ってもいられないような思いに駆られて思わず声を上げた、というのがどうやら真相のようである。
表には出ないはずの人が約束を破って表舞台に出てくれば、心の奥底では絶対に相手を許していない人が何らかの行動を起こすことがあるのは、まあ止むを得ないことだろう。

これは、明らかに告発ですね、と思わざるを得ない。

立候補さえしなければ、多分闇から闇へと葬り去られるような話だったと思う。
やっぱり立候補しなければよかったんですよ、としか言えない。

済んだことだ、と甘く見ていたことがよくない。

もう一件、選挙にならなければ絶対に表に出てくるようなことにはならなかっただろうな、と思うことがある。

多分、小池さんが自民党都連と対決するような格好で都知事選挙に立候補するようなことがなければ、このことも闇から闇へと葬り去られたことだろうと思っている。
告発したのは、元東京都知事の猪瀬さんである。
猪瀬さんが、ご自分のブログやツイッターで自民党の都議会議員であった樺山卓司という方の憤懣やるかたない心情が赤裸々に書き連ねれられている遺書を公開した。
猪瀬さんは覚悟を持って告発したようである。
猪瀬さんの告発がなければ、第三者である私たちには都政の闇、都議会の闇など想像も出来なかったはずである。

樺山卓司という都議会議員が自民党都連の大幹部の苛めに遭っていたとか、その苛めが原因で自殺していた、などという事実は、今回の都知事選挙がなければまず私たちには知る由もなかった。

多分、猪瀬さんも、今回の都知事選挙がなければ事実を知っていても何も動かなかったはずである。

猪瀬さんが告発したから、樺山さんの奥さんも小池さんの街頭演説でマイクを握るようになった。
ついには、この都知事選挙に名乗りを上げた元自民党の衆議院議員で労働大臣を務めたこともある
山口敏夫氏までも、都政の闇、都議会の闇、2020年東京オリンピックの闇まで語り始めている。

一般人の私たちにはとても信じられないような話が次々と出てきている。
ああ、この度の東京都知事選挙は告発の選挙だな、普通の選挙とは大分様相が違っているな。
そう、思うような、実に奇妙な展開になっている。

前述したように、撃たれる(討たれる)のが誰かは、まだ分からない。

しかし、雉も鳴かずば撃たれまい、という故事は、どうやら正しいようである。