これは何度も修羅場を経験したことのある橋下徹氏の指摘のとおり。
こういう時の最高の対応方法は、認めるべきところは認め、頭を下げるべきところは頭を下げて、反論なり反撃できるところはしっかり証拠を示して反論なり弁明をすることである。
こういうことは、単なる代理人でしかない弁護士には出来ない。
弁護士が言えるのは、本人がそう言っている、そう主張している、ということだけで、事実はこうだったなどとは絶対に言えない。
まあ、選挙妨害になるようなことはお止めください、と言って、取材禁止や接近禁止の仮処分申請ぐらいすればそれはそれで立派なものだが、既に報道された淫行疑惑についてのマスコミの取材を拒否できるだけの正当な理由があるかどうかは甚だ疑問である。
勿論、弁護士が登場することで一定程度マスコミの過剰な取材攻勢をかわすことは出来るのだが、弁護士の名前を出しただけではなかなか収まらないのが世間の常である。
弁護士の名前を持ち出して相手が引っ込む可能性があるのは、脛に傷を持つブラックな某業界関係者くらいなもので、何の傷もないマスコミ関係者が普通の弁護士が出てきたくらいで恐れ入るとは思えない。
本人が答えることが出来るはずの基本的な事実関係についての回答まで拒絶してしまったのが、最悪の対応だった。
いくら弁護士からそう答えるよう指導を受けていたとしても、すべてのことについて弁護士に聞いてください、と言ってはいけない。
弁護士は守秘義務があるし、自分たちの発言がどこでどのように利用されるか分からないので、状況が判明ないし確定するまでは何も言わない、何も言えない、というのが基本だから、弁護士に聞いてくださいと振られても答えようがないのが通例である。
どんどんドツボに嵌っていますね、まさに蟻地獄ですね、というところだろうか。
ご本人が事実関係について何も具体的に答えなかった、答えられなかった、というところに問題がある。
普通の人が見れば、報道されている内容の根幹部分にはどうやら間違いがなさそうだ、という判断になりそうな応答ぶりである。
この調子では、後から真実はこうでした、などと言ってもまず信用されない。
なんだか胡散臭いな、という印象を残しただけで大変なマイナスになる。
それでは、どう対応するのがよかったか。
報道された記事の間違った部分を徹底的に攻撃しておくことだ。
どんな些細なことでも間違いは間違いだから、報道された記事が間違っていると具体的に反論されると、真面目な人はそこでギャフンとなるものだ。
どんな些細なことでも間違ったこと、や不確かなことを書くのは、ジャーナリストとしては恥だろうから、相手が恥じ入るような剣幕で反撃することだ。
たとえ週刊誌であっても、ジャーナリズムの一翼を担っているという矜持くらいは持っているはずだから、間違いを書いてしまったらいたたまれなくなるはずである。
間違ったことを書かれて、思いっ切り反撃して勝利したのが橋下氏である。
まあ、普通の人にはあれだけの瞬間芸は出来ないだろうが、沈黙なり応答拒否はやはりいけない。
名誉棄損等での告訴は、あくまで反撃のための一つの手段でしかない。
いつ結論が出るかも知れない、そういう間遠い方法で足りると思っていたら、やはりとんでもない勘違いだ、ということをこの際申し上げておきたい。
週刊文春だけでなく他の週刊誌や夕刊紙、スポーツ紙も追随し始めたようだから、もうこの火は消せない。
事実無根と言い切れないところに問題がある。