現在の憲法改正発議ルールは、国家としての崩壊を招かないようにするための一つの工夫 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

EU離脱国民投票でイギリスはずいぶん難しい問題を抱え込んだものだ。
世代間の対立と地域間の対立が鮮明になり、おそらくこの対立はこれから先鋭化するのだろうと思う。

若い方々にはEU残留支持派の方が多かったようだが、年齢の高い方々の多くがEU離脱を希望し、結局はイギリスは若い方々の夢や希望を打ち砕いてEU離脱への道を選んだ、という形になる。
これから2年の内にどういうことが起きるか分からないが、こんな風に世代間の対立が表面化するのは決していいことではない。

まあ、若い方々にEU残留支持派が多いということは、時間の経過でいずれはEU支持派が優勢になるということだ。
一旦EUから離脱してもう一度EUに戻る、ということは容易なことではないと思うが、10年後、20年後にどうなるかは分からない。

いずれは若い方々の選択で決めてください、というところか。

深刻なのは、地域間の対立である。
スコットランドの住民の6割以上がEU残留支持だということは、イギリスはスコットランドの住民の意思を無視してEUから離脱するのか、ということになる。

一国二制度のルールでも導入しないと、いずれスコットランドの分離独立は避けられなくなる。

国民投票はこんな風に国民を分断してしまうことがある、ということだ。
国家が分裂してしまえば、国力の低下は免れない。
イギリスは国民投票の実施でずいぶん危ない道を選んだな、ということになる。

日本の場合は、衆議院と参議院の双方で3分の2以上の議員が賛成しないと憲法改正の発議が出来ないようになっている。
国会では憲法改正発議要件の緩和がいつも問題になるが、現在の憲法改正発議ルールは、世論の激しい対立や国家の分裂を招くことがないようにそれなりに工夫されている、と言ってもいいだろう。

今回のイギリスの国民投票は、日本の憲法改正問題についてこれまでとは違った視座からの検討の必要性を示唆しているようである。