安倍内閣の足を引っ張りたい人や甘利氏の失脚を期待している人たちからすると、ここは何とか甘利氏の辞任にまで結び付けたいところだろうが、どっしり構えているとこの問題は1週間程度でケリが付く。
甘利氏が辞任しようがしまいが、この問題で野党の支持率が急上昇するようなことはなく、この段階で自民党政権に見切りを付けるような人も現れないだろうから、あえて甘利氏に辞任を求めなければならないような事態とまでは言えない。
辞めても辞めなくても同じようなものだ、ということになったら、政権運営上のリスクの少ない方を選ぶことになる。
TPP問題について的確な答弁を出来るだろうと目されている自民党の国会議員は甘利氏一人だ、ということになったら、まず安倍総理が甘利氏を更迭するような事態にはならない。
要は、説明責任を十全に果たし、違法ないし不適正な処理がなされているということが判明したら、その範囲内での法的責任を取ればいいだけのことである。
悪辣な証拠隠しとか、如何にも不誠実そうな開き直りといった姿を見せなければ、いずれ落ち着くところに落ち着く。
決して悪あがきをしないことだ。
衆議院本会議の欠席戦術ぐらいしか出来なかった野党がバタバタと甘利落とし(?)対策本部を起ち上げても、週刊文春が書いた以上の事実を掘り起こすことは難しいだろう。
あっという間に1週間が経過してしまう。
多分1月27日頃には甘利氏側から一応の事実調査報告が出されるはずである。
野党の皆さんの調査能力が甘利氏側を遥かに上回っている、などということはないはずだ。
説明責任を果たしていない、証人喚問だ、などという話も出てくるだろうが、甘利氏側が政治倫理審査会で説明したい、と言えば、大体はそこで終わりだ。
甘利氏の秘書についてはいずれ刑事責任が問われるような展開になるだろうが、だからと言って甘利氏の大臣辞職には直ちには繋がらない。
別に開き直れ、と言っているわけではないが、違法行為があれば司法当局の捜査に委ねる、ぐらいの気持ちで対処すれば、結局は落ち着くところに落ち着く。
官邸は、そのつもりのはずである。
自民党も、多分そのくらいの感覚で対処するはずだ。
気が早い人たちは甘利氏の辞任観測気球を上げているが、閣僚に係る不祥事・スキャンダル報道に対する危機管理という観点から言えば、ここはどっしりと構えておくのがいい。