朝鮮半島有事の際のソウルの在外邦人救出は、あくまで在外邦人保護法制の延長上の問題 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

何でも集団的自衛権に結びつけようとする方々がおられるが、在外邦人の救出は自衛権の行使の問題とは一応切り離して考えるべきだろうというのが私の立場である。

国民保護法制の延長上に在外邦人救出の問題を考えるべきで、在外邦人救出を自衛隊が担うのか、警察が担うのか、それとも在外邦人救出のための特別の訓練を経た特殊チームに委ねるか、さらには海外の専門救出機関や民間軍事組織、日本の民間在外邦人救出専門組織、さらには外国の軍隊に委ねるか、ということはその時々の事情に応じて決定出来るようにしておいた方がいいだろうと思っている。

在外邦人救出にはそれ相応のリスクが伴うことは当然予測しておかなければならないから、それ相応の武器の携行及び使用が出来るようにしておかなければならないが、在外邦人救出活動がすべて自衛隊の任務だと固定することがいいのかどうかについては疑念がある。

時にはSWATのような存在が必要になるだろうし、海上自衛隊と海上保安庁の出動を求める場合もあれば、民間航空機の活用が必要になる場合もあり得る。

維新の対案を呑んで政府原案の平和安全法制整備法案等を修正すれば如何にも朝鮮半島有事に対処できなくなり、ソウルの在外邦人救出を行うことが出来なくなる、などと批判的なコメントを寄せられた方がおられるが、私は維新がそういう事態になることを想定して維新の対案を提出した、とは理解していない。

在外邦人の救出は自衛権の行使と密接に関係するところはあるだろうが、しかし、いわゆる自衛の措置とは別のものである。
国民の安全や保護を第一に考えているはずの維新が在外邦人の救出が出来なくなるような法案を考えているとはおよそ信じられない。

今回の維新の対案は参議院の法制局と十分打ち合わせをして提案されているはずだから、維新の対案にそんな重大な欠陥があったとはとても信じられない。

なお、在外邦人の救出活動に従事している日本の自衛隊に軍事的攻撃がなされたり、軍事的攻撃がなされる明白な現在の危険が切迫している際の反撃なり、反撃の準備などは自衛の措置の範囲内の行為だから、これは自衛権の行使の問題になる。

法文の読み方にも色々あるから、維新の対案の読み方に紛れがあるのだったら出来るだけ紛れがないような工夫をすることは大事だが、だからと言って維新の対案が碌でもない対案だと決めつけるのは如何だろうか。