自民党の懐がまた深くなったようだな、と思うようなことが続いている。
自民党のアンテナの感度がここに来てグッと良くなった。
菅官房長官が沖縄の翁長知事との会談を行い、辺野古沖基地建設の作業を1か月中断し、さらに安倍総理が来年度の予算で沖縄に対して3000億円程度の予算措置をすることを確言するなど、官邸や自民党の対沖縄姿勢がずいぶん融和的になっている。
広島原爆忌における安倍総理の挨拶はイマイチだったが、8月9日の長崎原爆忌では総理の挨拶の中に非核三原則を堅持するというしっかりしたメッセージが織り込まれるということだ。
戦後70年の総理談話は閣議決定を行って、事前に自民党、公明党にも了解を求めることにした、というのだから、安倍総理の暴走はこれで完全になくなったということだ。
この調子で行けば、懸案の平和安全法制整備問題についても世論の動向に十分配慮した内容に修正されることが期待出来る。
民主がいつ対案を提出するのか分からないが、維新や民主が対案を出せば、相当法案の根幹に関わるような修正が実現する可能性が出てきた。
いいことである。
なかなかやるものだ、と思っていたら、自民党はさらにもう一歩前に進んできた。
今や自民党きっての行政改革の鬼のような役割を一手に引き受けている河野太郎氏を自民党が上手に表舞台に引っ張り出してきた。
さすがに新国立競技場建設構想の白紙撤回はないだろうと思っていたが、自民党はゼロベースでの見直しを党の正規の手続きを経て提言するに至っている。
河野太郎氏の極論もあえて排除しないことにした、というのだから、凄い。
河野太郎氏のような、どちらかと言えば自民党の中では異端に属すると思われる議論を自民党は決して無視しないのだ、ということになると、自民党の部会の中での議論が重要になってくる。
河野太郎氏のような極論を言ってもいいのだ、ということになると、若い衆議院議員の人たちも自分の意見を発表してみようかしら、ということになる。
愚かなことを言ってしまえばたちどころに潰されてしまうだろうが、周りの人がなるほどな、と思わず頷くような見事な正論を述べれば、いつかは若い方々の意見が自民党の意見になるということだ。
おう、自民党が急速に変わりつつある。
これは、面白そうだ。
自民党の危機感は、どうやら本物のようである。