頓挫したNPT再検討会議から何を学ぶか | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

日本が主導権を発揮して欲しいと願っている国際会議の筆頭はNPT再検討会議である。
内容的には殆ど合意に達していたと報道されているが、決裂したことには違いない。
決裂した以上は、殆ど合意に達していたという条項もすべて反故になる。

世界で最初の被爆国である日本にこういう大事な国際会議を纏める力がないのが、実に残念である。
アメリカがイスラエルの意向を受けて強行に反対したから、結局会議が決裂したというのだから、アメリカの責任は大きい。
オバマ大統領にノーベル平和賞を返上してもらいたいほどの痛恨事である。

国際社会がいくら核廃絶を高らかに謳っていても、国際的な紛争が激化している地域では結果的に核に依存しなければならなくなるということだし、世界最大、最強の軍事国家であるアメリカも、結局は同盟国であるイスラエルの意向には従わざるを得ないということでもある。

核のない世界の実現を目指している多くの人々の願いが実に虚しい。
現実の前には理想が敗れていく、ということを改めて知らされた。

北朝鮮の挑発が続けば、日本でも核武装を求める声が上がってくるはずだ。
その時に、私たちは何が出来るだろうか。

参考:毎日新聞ニュース
<NPT決裂>中東に渦巻く核兵器開発疑惑 イスラエル強硬

米ニューヨークで開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は22日、中東の非核化に向けた米国とアラブ諸国との見解の相違を埋められないまま終了した。背景にはイランの核開発を巡る中東情勢の変化がある。米欧などがイランとの交渉で一定の「平和的な」核開発を認めつつある中、イランと敵対する潜在的核保有国イスラエルは態度を硬化。最大の同盟国・米国も、イスラエルの安全が保障されるまで非核化に同意できないとの方針を強めざるを得なかったとみられる。【エルサレム大治朋子、カイロ秋山信一】

イスラエルはNPT非加盟国だが、今回の再検討会議で「中東非核地帯構想」が中心議題になるとみて、20年ぶりにオブザーバー参加した。非核化を求めるアラブ諸国の動向を見極める狙いがあった。非核化に向けた国際会議の開催が決定すれば、核保有を否定も肯定もしない「あいまい政策」に対し、国際社会の圧力が高まるのは必至だからだ。

さらに、6月に期限を迎えるイランと主要6カ国(米英仏中露独)の核交渉が最終合意に至れば、「(イランとライバル関係にある)サウジアラビアやエジプト、トルコなど中東各国が核兵器開発に乗り出す可能性がある」(イスラエルのシンクタンク「国家安全保障研究所」)とみられている。イスラエルとしては、「核抑止力」を低下させる事態は回避したいのが本音だ。

イスラエル紙ハーレツによると、トーマス・カントリーマン米国務次官補(安全保障・不拡散担当)は19日、急きょイスラエルを訪問。外務省高官らとNPT会議などについて「集中的な協議」を重ねた。米国の最終的な判断に、イスラエルの意向が大きく反映された可能性がある。

オバマ米大統領は22日、ワシントンで開催されたユダヤ系団体との会合で「イスラエルの安全保障に対する決意は今もこれからも揺るぎない」と強調した。米議会保守派を中心にイランとの核交渉に批判的な声が根強い中、NPT会議でのオバマ政権の判断には、核交渉についてユダヤ系議員から理解と支援を得る狙いがあった可能性もある。

一方、核兵器を持たないアラブ諸国にとって、緊張関係にあるイスラエルの事実上の核武装やイランの核開発は大きな脅威だ。5年に1度のNPT会議は、アラブ諸国が国際社会の圧力を利用してイスラエルやイランに核放棄を迫る絶好の機会で、今回の会議でも中東非核化会議の開催に強く固執した。

エジプトなどアラブ諸国とイスラエルは4度の中東戦争を経験。その後、エジプトとヨルダンはイスラエルと平和条約を結んだが、潜在的な緊張関係は解けていない。両国を除くアラブ諸国は今なおイスラエルと平和条約を結んでいない。

イスラエルの事実上の核武装に対し、エジプトは「イスラエルがNPTに加盟しなければ、エジプトは化学兵器禁止条約に加入しない」と主張、化学兵器の保有も継続しているとみられる。過去にはイラク、リビア、シリアが核兵器開発を進めた疑惑もあり、イスラエルの事実上の核武装が、中東に大量破壊兵器が多く存在する一因となってきた。

また、米欧などがイランに一定の核開発を認めた場合、サウジアラビアは「同等の権利」を主張する構えだ。サウジはパキスタンの核兵器開発を資金面で支援したとの見方があり、「イランが核武装すれば、サウジにパキスタンの核弾頭を配備する」との密約説もささやかれている。