救急隊員あるいは認定救急救命士が直面する典型的ジレンマ例が橋本雄太郎氏の書籍に紹介されている。
こういう具体的事例を基にして救急救命士の指導者となる皆さんのトレーニングを行っていくのがやはりいいだろう。
答えは橋本氏の一連の書籍に示されているようだが、どうも私は橋本氏とは別の答えを導き出しそうな感じがある。
これは現役の救急救命士の皆さんとディスカッションをした方がよさそうである。
2日目の講義は、これを取り上げることにしよう。
予め皆さんにお示ししておく。
橋本氏が提示している典型的ジレンマ例はつぎのとおりである。
設問1 介護施設収容者で介護施設職員からDNARを示された場合
末期癌傷病者で、家族から応急処置を拒否され、搬送のみを希望された場合
設問2 気管挿管認定救急資格取得1年8か月後に初めて適応奨励に遭遇したが、手技に自信が持てない場合
設問3 8番ホールで倒れたゴルファーがいるとの通報によりカート路を走行中、3番ホールで倒れているゴルファーを発見した場合
橋本氏に著作権が帰属することなので、多少は設問の表現を変えた方がいいかしら、と思わないでもないが、こういう難しい問題を研究している人たちがいる、ということをなるべく多くの人に知っていただき、様々な問題解決のための知恵を広く求めるために、橋本氏の提示される通りの設問にしてみた。
自分自身の答えを探すために、まずは橋本雄太郎氏の著述を読んでみたいと思われる方は、虎ノ門にある霞が関刊行物センターで「救急活動をめぐる喫緊の法律問題」(東京法令出版)を購読していただきたい。
私の教科書にするわけではないが、重要参考書になることは間違いない。