メッセージの出し方は難しいー安倍総理の積極的平和主義はどこまでのことを言おうとしているのか | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

私が「テロとの戦い」と書くときは、あくまでテロには屈しないという私の心情なり姿勢を示すためであって、実際にテロ組織集団との戦闘までは想定していない。
しかし、実際にテロとの戦いの戦場にいる人たちにとってはこの程度の「テロとの戦い」は言葉の遊びで、戦いでもなんでもないということになるだろうとは思っている。

何事も曖昧なままにすることが嫌な人たちは、とことん突き詰めて、いざという時どこまでやってくれるのか、どこまで関与してくれるのか具体的に明らかにしてくれ、ということになるだろう。

安倍総理のいわゆる積極的平和主義がテロとの戦いの中で具体的にどういうことを言い表わそうとしているのかが問われる時代になったようだ。

安倍総理の2億ドル供出宣言は、あくまでイラクやシリアの難民・避難民支援のためであることは明らかなのだが、イスラム国がもたらす脅威を少しでも食い止めるためであると強調し、イスラム国と闘う周辺諸国に総額で2億ドル程度支援をお約束します、と念押ししたために、如何にも日本がイスラム国と直接対峙することをも厭わないかのような印象を醸し出してしまったようだ。

前衆議院議員の三谷英弘氏は、次のように述べている。

「『イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。』
http://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me1/eg/page24_000392.html

"We are going to provide assistance for refugees and displaced persons from Iraq and Syria.
We are also going to support Turkey and Lebanon. All that, we shall do to help curb the threat ISIL poses. I will pledge assistance of a total of about 200 million U.S. dollars for those countries contending with ISIL, to help build their human capacities, infrastructure, and so on."
http://www.mofa.go.jp/me_a/me1/eg/page24e_000067.html
どうですか?
上の日本文は安倍首相のスピーチ、下の英文は外務省の公式の英訳です。
日本文から受ける印象と英文から受ける印象、相当印象が違うなと思いませんか?」

安倍総理のこのメッセージがイスラム国の2億ドル身代金要求の引き金になったことだけは間違いなさそうである。

別に外務省の翻訳文に問題があったとは思わないが、どういう文脈で、しかもどういう口調で演説するかで聞いている人の印象が随分異なってくる。

言葉は、確かに難しい。
私自身、自分の伝えたいメッセージを過不足なく自分の文章に表わせているかどうか、自信はない。
時には言い過ぎたかな、と思うこともあれば、まだ言い足りないなと思うこともある。

難しい時代になった。

いずれにしても、相手がどう受け止めるだろうか、ということをよくよく考えて言葉を選ばなければならないということである。