寸止めの極意というものがある。
相手を切り刻むことが出来るのだが、しかしあえてそこまではしない。
密室でのやりとり、二人だけのやりとりで、他言無用というような事柄は胸の内、腹の内に納めておくのが上に立つものの器量である。
相手に恥を掻かせるようなことはあえてしないのが、君子の戦い、紳士の戦いである。
相当追い詰められていた、切羽詰まっていたということだろうが、言わずもがなのことを言ってしまったのが民主党代表選挙に立候補している岡田氏である。
岡田氏のこういう頑ななところが、大事なところで躓きの素になる。
細野氏が政界再編派であることは、皆承知している。
民主党の代表選挙に立候補して一人でも多くの国会議員の支持を獲得したいがためにあえて維新の党との合流などの方針を引っ込めているだけだということは、皆さん百も承知である。
嘘も方便。
とにかく世代交代を訴えて民主党の再生を実現しようとしているのだから、本当の狙いが別のところにあることを承知で、軽く受け流すくらいが大人の対応であった。
さぞかし細野氏もバツが悪かっただろう。
二人だけの密室での話を公衆の面前でばらされてしまったのだから、普通の人は根に持つ。
決定的な敵を作らないのが大政治家になるための要諦なのだが、まあ、大政治家になる道は諦めた、ということだろうか。