一途に、この道しかない、と思い込むほどに立派な道が目の前に開けているわけではない | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

何事にもちょっと斜に構えて見たくなる時があるが、今の私はそんな状態である。

この道しかない、と言われるほどに立派な道だろうか、という疑問が付いて回る。
エンジン全開で突っ走れるような状態にはまだない、消費税増税の再延長時期を少々繰り延べした程度でパッと何もかもよくなるような状況にはなっていない、TPP問題も農協改革も公務員制度改革も選挙制度改革もまだまだ前途多難で、日本の外交や安全保障環境もそんなに好転していない。

ジグザグで、しかも荊の道をこれからも歩まざるを得ないのだろうから、今の段階でこの道しかない、などと言う必要はないのではないか。
靄がかかって先行き不透明な状況の中で、しっかりアンテナを張って慎重に進路を決めていく、という聡明さがやはり求められているのではないか。

私にはそう思えてならない。

ちょっと待て、その先には断崖絶壁が待っている、などということにならないように、まずは、足元をしっかり見ながら一歩一歩着実に前に踏み出した方がいい。

経済政策を優先することには大賛成である。

日本の経済の足腰を強くし、国民総生産、国民総所得を増やすことには賛成である。
そのためには、若い方々が積極的に起業し、新しい事業を展開して大いに所得を増やしていけるような環境を作る必要がある。
意欲のある若者の起業を妨げるような規制をどんどん撤廃し、競争を活発化して新しい事業分野を開拓することを側面的に支援する、ということは大事だ。
中村修二氏のような技術者、研究者を増やしていくために科学技術立国を目指すというのもいい。

再生医療や再生エネルギーの分野で人材を養成するというのもいい。

しかし、日本の景気回復のためには原発再稼働への道しかない、と言われては困る。
地震列島、災害列島の日本ではどんな対策を講じても原発稼働による大災害のリスクはゼロにはならない。
当面の電力需要を賄うために原発再稼働は認めざるを得ない、ということになっても、これはもろ手を上げて賛成するようなものではない。
あくまで、渋々と、現状では仕方がないだろう、と妥協しているだけの話であって、内心は一日も早く脱原発への道を歩いてもらいたいと思っている人が多いはずだ。

この道しかない、と広言してたとえ選挙戦に勝利したとしても、国民のみんなが本当に「この道しかない路線」を支持したわけではない。

この道しかない、と言う場合の「道」はどんな道か、ということぐらいはしっかりと確認する必要がある。

道を外れるのはよくないが、間違った道を突っ走って谷底に落ちてしまったのでは元の道に戻ることも出来ない。