武力行使一体化論をどうやって克服するか | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

機雷掃海は武力行使や戦闘行為に該当する、と認識されておられる方はどの程度おられるだろうか。

機雷掃海は戦闘当事国の一方が撒いた機雷を除去する行為だから、当該国の軍事的攻撃力ないし防衛力を低減化させるという意味では「戦闘行為」の一類型にあたる、と認識されても止むを得ないが、人を殺傷したり船舶等を破損させる危険を除去するための行為だということを強調すれば「非戦闘行為」であり、そのこと自体は「武力行使」にも該当しない、と言うこともできよう。

よく武力行使一体化論が出てくるが、機雷掃海は武力行使には当たらない、という認識が国際社会に共有されれば、私は、場合によっては機雷掃海が出来るようになってもいいのではないか、と考えている。

日本の海上自衛隊が機雷掃海を引き受けることになった場合に、これは機雷掃海と言う、相手国や相手国の軍隊に対して一切の危害を加える虞のない平和的な活動に従事しているだけだ、という認識が当該相手国にあれば、日本の海上自衛隊が当該相手国から攻撃を受ける危険性はぐっと低くなる。

国連決議に基づく国連の集団的安全保障の一環としての機雷掃海をわが国が引き受けることが出来るかどうか、という問題がいずれはクリティカルな問題として登場してくるはずである。
かなり難しい議論になる。
私は、最終的には条件を限定、明確化したうえでこれを認める方向での結託になるはずだ、と予測しているが、議論が先鋭化しないようにするためにはいずれ武力行使一体化論を克服する必要があるはずだと思っている。

防衛や安全保障の問題で日本の国内での政治的対立が先鋭化、激化するのはよくない。

防衛や安全保障問題では大まかな国民的合意が成立することが肝要である。
政権党がどこになっても、国政の運営はあくまで国民的合意に沿っていると認められる範囲で、穏便かつ丁寧に進められるのがいい。

武力行使一体化論の中身もまだ明確ではないが、これまでのような「武力行使と一体化するからあれも出来ない、これも出来ない」という物言いだけはもう卒業した方がいい。

なお、武力行使一体化論は基本的には武器供与が武力行使と一体化するからいけない、という文脈の中で語られる議論だが、私がここで言う武力行使一体化論はもう少し幅広い概念で、駆けつけ警護などの際の武器使用なども射程距離に置いている。

なお、本稿は、機雷掃海は武力行使の概念の外に置いて国際平和維持活動の一環として日本も出来るようにしては如何か、そのためには、まずは機雷掃海は戦闘参加ではない、という国際的な認識の共有化が必要であり、それが出来ていない現段階では危険である、という指摘に留まるものである。
一つの思考実験であるので、お分かり難いとは思うが、悪しからず。