潮目を読む官邸ー多くの国民は憲法改正を緊急の政治課題として捉えていない | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

安倍内閣の閣僚も官邸も実にそつがない。

あれだけ憲法96条の憲法改正手続条項の先行改正を声高に言い立てていた安倍総理の発言ぶりが急速にトーンダウンしている。
見事なものだ。

君子は豹変する、というが、猪突猛進的なところが見えなくなっているから、今の安倍自民党は選挙には強いはずだ。

安倍新内閣発足から6か月になろうとするが、誰一人閣僚の更迭がない。
閣僚の不祥事や問題発言、さらには閣内不一致、与党との軋轢などの政権不安定化要因が殆ど表面に現われていないのだから、安倍内閣の政権基盤はますます安定化に向かう。
日本経済のクラッシュなど起きそうにもないから、今のまま推移すれば安倍内閣は3年間は続く。

失敗に学ぶことが出来た政治家だ、という評価がそろそろ出てくるはずだ。
強運の政治家だとそろそろ言われはじめてもおかしくない。

やはり、黒子に徹することが出来る目の見える軍師、参謀がいた、ということが決定的に重要である。

実に潮目を読むことが巧みだ。
官邸の振り付けどおりに動いていれば、まず大きな失敗はしそうにもない。
菅官房長官、加藤勝信、世耕弘成両官房副長官の官邸トリオは、多分官邸史上最強のチームと評価されるだろう。

今の官邸が私のブログを読んでいるかどうかは知らない。
誰か一人ぐらいは情報収集の対象の一つぐらいにしていてもおかしくはないと思うが、さてどうだろうか。

もう分かっています、と言われるだろうが、一応官邸の目に触れることを念頭に大事なことを書いておく。

多くの国民は憲法の改正を緊急の政治課題などとは毛頭捉えていない、ということだ。

憲法のことを持ち出せば持ち出すほど国民は引いてくる。
盛り上がっているのは一部のマスコミと国会議員だけで、世間で熱く憲法を語っているのは私のブログの読者と私が主宰する動態的憲法研究会や憲法フォーラムの参加者だけだ、ということだ。

いわゆる井戸端会議で憲法改正を求める声が上がらない。
お茶の間でも話題にならない。
私のラジオ体操の後の車座ストレッチ放談会でも特にテーマに上がらない。

選挙では自民党の候補者に投票するが、それはほどほどの政治を実行してくれる力があるのが自民党しかないからで、別に今憲法を改正してくれ、と自民党に求めているわけではない、ということを、よくよく認識しておく必要がある。

多分7月の参議院選挙の投票率は低い。
結果が見えている選挙にはわざわざ行かないのが最近の有権者の投票行動である。

小泉時代の郵政民営化選挙では、貴方は郵政民営化に賛成か反対か、と問われたものだ。
郵政民営化に賛成だ、と答えれば、それなら貴方に投票する、と言っていた多くの若者がいた。
今は、誰もそんなことは言わない。

憲法の改正に賛成か反対か。
イエス・オア・ノーで答えよ、などと問う人もいなければ、イエスと答えてもノーと答えても有権者の投票行動を左右することは殆どない。

投票に行く人は行くだろうし、行かない人はやはり行かないだろうということだ。