民主党がガタガタ音を立てて崩れようとしている。
選挙互助会組織だから民主党には政党としての綱領もなければ、確固たる理念もない。
本当はバラバラな出自の人たちが、自民党に対する対抗軸になるために非自民の旗を掲げて結集した。
自民党は強固な組織だったから、ちょっとやそっとでは新人が自民党の公認を得ることは難しかった。
自民党の現職の議員がいるところでは、ちょっと気が利いた青年は非自民の旗を掲げ、反自民の世論に乗じて国政の場に出ようとしてきた。
根っこは、自民党と変わらない保守である。
自民党では公認を得られそうになかった人だから、旧来の自民党支持者から見ればやや格落ちの存在だろうが、保守は保守である。
こういう人が反自民、非自民の風に乗って大量に当選してるのが現状ではなかろうか。
頑固な市民活動家や、社会党の思想や政策に心酔してきた社会運動家、それぞれの出身労働組合の代弁者、などなど様々な出自の人たちが民主党の器の中でそれぞれに活動してきた。
しかし、こういう理念系の人たち、運動系の人たちは本来の保守系の人たちのところまではに手が届かない。
結局、旧自民党系の人たちの結束力が他のグループを凌駕することになる。
選挙至上主義の小沢一郎氏が見事に民主党の乗っ取りに成功した背景には、こんな事情がある。
自民党の幹事長や旧田中派の大幹部として選挙を仕切ってきた経験が豊富だから、選挙にずぶの素人は小沢氏を頼るようになる。
潤沢な軍資金を確保した小沢氏は、ほかの誰よりも金の使い方が分かっていたようである。
裏で選挙の指揮にあたってきた小沢秘書軍団が凄かった。
選挙があることで小沢氏は自分の存在価値を高めてきた。
政策にはほとんど見るべきものがないが、選挙は政策とは別物。
じりじりと自民党は追い詰められ、ついに政権の座が蹴落とされることになった。
そういう過程を検証すると、小沢氏は只者ではないことが分かる。
今、民主党の支持率は10パーセント台にまで急落した。
今選挙があれば、民主党が大敗することは必至である。
そういう状況の中では、小沢氏の存在価値は殆ど皆無である。
小沢氏がどんな手段を使っても衆議院の解散・総選挙を画策するのは、まあ自然な成り行きである。
しかし、自民党はこれに乗ってはならない。
原理原則を無視し、先の展望がないままに小沢氏と手を結ぶようなことはしてはならない。
自民党は、再び鵺的な政党になってはいけない。