菅内閣は臨時国会の前にも難破しそうだと思っていたが、どうにかとりあえずは座礁は免れたようだ。
今朝の新聞各紙は、臨時国会を当初の予定通り10月1日に開会するという方針は変えずに、、同月4日、5日の両日ベルギーのブリュッセルで開催されるアジア欧州会議(ASEM)に菅総理が出席することになった、と報道している。
9月30日には予算委員会が開催され、閉会中審査を行なうことになった、ということだから、自民党外の野党の国対と民主党の国対の協議が円満に成立した、という証拠だ。
やはり谷垣自民党は、優しかった。
難破寸前の菅内閣に実に大きな助け舟を送ったようなものだ。
まだマスコミやインターネットの世界では中国漁船船長の釈放に厳しい批判が続いているが、少しだけ中国政府の対応が変化してきているように、私には見える。
中国政府が「日本政府に対して謝罪と賠償請求する」、と言明するのと、「日本に対して謝罪と賠償を請求する権利がある」と表明するのでは、現場での対応が大きく異なってくる。
今朝の朝日新聞にこれまでの中国政府のメッセージ発信の仕方の紹介があったが、外交問題を考える上ではこういう小さな表現振りの変化に実に大きなメッセージが隠されていることがあることを私たちは知っておいた方がいい。
仙谷官房長官が海上保安庁の船舶の船体の損傷について中国政府に対して賠償請求する、いつ賠償請求するかは諸般の事情を考慮して決めたい、などとわざわざコメントを出して中国政府の反応を窺っているのは、多分自民党や公明党との水面下での折衝を踏まえてのことだと思う。
フジタの4人の技師が未だに拘束されたままではあるが、とにかく本人たちの身体の安全は確保されたようだ。
アジア欧州会議が開催される頃には、どうにか出口が見えてくるのではないだろうか。
それにしても、前原新外務大臣はもう少し外交センスを磨いた方が良さそうだ。
やはり、一国の外交や安全保障を委ねるには危ういところがある。
勿論、筋論は大事である。
政治家が筋論、正論を大切にしなくなれば、場当たり的な状況主義に陥り、国家が迷走することは必至である。
前原外務大臣の方針は間違いではなかったと、思っている。
しかし、十分な情報収集のチャンネルを持たない中で、かつての古い情報や素人の直感で重大な決断をして、途中で方針変更を迫られるようなへまは、やはりしない方が良かった。
まだ、前原外務大臣は一人で日本の国を背負うだけの器量は、備えていない。
だから、谷垣自民党は、どうやら今回は菅政権に助け舟を出すことにしたようだ。
私は、今のところはそれでいいのではないかと思っている。