とっつきにくそうな本だと思っていたが、実は面白かった。
集英社新書「英詩訳・百人一首」(筆者はアイルランドの詩人マックミラン・ピーター氏、佐々田雅子訳)である。
百人一首に恋歌が多いこと、8人もの天皇の詩が百人一首のなかに選ばれていること等を改めて知った。
百人一首をそのまま詠んでいたのではなかなかそのニュアンスが掴めなかったことが、アイルランドの詩人の感性で英詩に写しこまれたことでより明瞭になってきている。
それでも百人一首の原文の味は、英詩ではとても味わえない。
他国の文化を自国語に翻訳・移入することが如何に難しいか、そして、古来の日本の文化の水準が如何に高かったかを痛感している。
日本語の言葉のあやや深みを学び、さらに行間に隠された筆者の思いなどを把握する縁として是非和歌についても学んでいただきたい。
これもいい本だ。