今年の靖国は、それほどの喧騒ではなかった。
比較的カジュアルな服装での参拝者が多かった。
二人のお子さんを伴ったご夫婦の家族連れが、私の目の前で深々と頭を下げられた。
男性の合図できちんとタイミングを合わせて一緒に頭を下げ、拍手をする。
その前にリュックを背負って深々と敬礼する年配の男性がじっと前を見つめ、おもむろに礼拝されるのを見守った後、少し間を空けて4人の家族が揃って頭を下げられた。
靖国に特別の思いを籠めての参拝だと見えた。
実に多くの人が並んでいた。
まさに炎天下、猛暑の中での参拝だが、こうして、特別の思いを籠めて参拝された方も多かったようだ。
しかし、靖国は終わったような気がする。
麻生総理が総理としての参拝に言及しない一方、民主党の鳩山由紀夫代表は靖国に代わる国立の追悼施設を建設することを公約した。
靖国が靖国でなくなる日が、すぐそこまで来ている。
30年後には靖国は都内にある静謐な社の一つ、ということになるのだろうか。