今のまま行くと、政権与党と政権野党の二大政党的な構造になるだろう。
政権与党はあらゆる批判の対象となり、政権野党はあらゆる攻撃の主体となる。
政権野党は政権与党を攻撃することに存在意義があり、政策決定についての責任を分担する、という発想には立ち難い。
結果的に、政局あって政策なし、ということになる。
ただただ、反対のための反対を続ける。
政権与党の手柄になるようなことには反対しろ、ということになる。
それが小沢流の政権奪取戦略であった。
これが成功しつつあるように見えるのが、現在の状況であろう。
しかし、こんな二大政党制には魅力がない。
何のために政権を担当するか、何のために政権交代を求めるのかの、大事な政治の根幹部分が欠落している。
これでは、単なる椅子取りゲーム、権力闘争でしかなくなる。
自民党の幹事長であった小沢氏には相応しいのかも知れないが、これからの政治家にはお薦めできない。
理念も政策も曖昧なまま、曖昧であるから辛うじて結束できる、という選挙互助会的な政党に本当の政権担当能力があるとは言えない。
それでもいいじゃないか、というのは、それだけ日本の政治の現状についての失望感が強いという証拠。
絶対に、これでいい、などどと言いたくない。
もっと理想を語り、十分吟味した政策を推進したい。
目先の選挙のことばかり考えて、内心不本意のまま、生煮えの政策を語り、徹底的な審議を避けて、ただ数の力で押し切る、などということは止めたい。
これぞという専門家を交えて、心の底から得心できるような、いい政策を推進したい。
アゲインストの風が強く吹いているときは、残念ながら本当の力持ちであっても生き残ることは難しい。
3日前に名乗りを上げた候補者でも、風に乗れば有力な政治家を凌駕できる得票を得ることが出来る、というのが現実である。
これが民意だ、などと簡単に切り捨てられても困る。
出来る限り有為な人材に、政治の世界で仕事をしていただきたい。
日本を、政治的により安定した軌道に乗せていただきたい。
社会不安の増大により議会制民主主義を軽視するような風潮を招来することがないようにして貰いたい。
極端から極端に走りやすい日本の政治を、どうやってより安定した落ち着いたものにしていくか。
それが私の最大の関心事だ。
やはり小選挙区制には、危険な要素が内在している。
異論を許さない。
造反を許さない。
公認権や政党助成金の配分で、執行部の権限が強大化し、党の独裁的政治運営も可能である。
小沢氏は、そういう体質を持っている。
鳩山由紀夫氏は、こういうことにはどうやら無頓着らしい。
こういうことを考えると、小選挙区制が一番いい、などとは言えなくなる。
派閥の弊害があるが、自由闊達な政治土壌をつくるためには、中選挙区制の方がやはりいい。
どうせ、二大政党制などというフィクションは、日本では当てはまりそうにないから。