日本の国民の生活が大事でない政治家などいない。
私はそう確信しておりますが、こういう基本的なことについても信用されないのが日本の政治の現状でしょう。
国民の生活が第一、などと、今更のようなスローガンを掲げている民主党に政権与党の自民党よりも多くの支持が寄せられている、というのは不可思議な現象です。
曲がりなりにも国民の生活を保障するために予算を提案し、必要な法律の改正を実現し、予算の執行に当たってきたのは政府与党。
ごく例外的な場合を除いて予算には一貫して反対の態度を貫いてきたのが、民主党。
是々非々ならともかく、政府与党の得点になることにはすべて反対する。
反対のための反対を繰り返していた政党に国民の支持が余計集まる、というのですから、政治不信も極まれり、ですね。
まるで学生運動華やかなりし頃の様相になってきました。
すべての既得権を否定し、すべての価値を破壊してみたい。
これが現在国民の間に漂っている、なんとはなしの破壊衝動ではないでしょうか。
その先の展望はないけれど、とにかく壊してみたい。
国民の間に体制変革へのなんとはなしの願望があることは間違いありません。
私は、大学解体を叫んでゲバ棒を持った集団が大学構内を闊歩した時代を生きてきました。
東大の図書館や研究室の封鎖をしようとする全共闘の学生集団に真正面から対抗したこともありました。
そんな無謀な、しかも一般社会では絶対に通用しないような暴力を振るうようなことは、絶対にすべきでない。
自分が一生涯賭けて貫き通すことが出来ないような行動を、瞬時の激情に駆られてやるような、愚かなことは絶対にすべきではない。
暴力反対。
大学破壊反対。
当時、そう訴えました。
さて、現在国民の間に広がっている破壊衝動は、ちょっと始末に終えないもののようです。
どこに不満があるのか、自分自身でも掴みきれていないような、なんとはなしの破壊衝動。
出口のない破壊願望のようです。
これから1ヶ月の間に答が出せるか分かりませんが、政治はこういった、なんとはなしの破壊願望、破壊衝動を克服する処方箋を用意しなければなりません。
これからが正念場です。