麻生内閣の経済対策 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

麻生内閣の経済対策のメニューが出揃った。


総理官邸は、3段ロケットで景気を支えます~総額75兆円の対策~と高らかに謳っている。


第一段階は、総額11,5兆円の安心実現のための緊急総合対策である。

その実行のための予算は、既に10月16日第一次補正予算(1,8兆円)として成立した。

第二段階は、10月30日に決定された「生活対策」である。

その規模は26,9兆円、約27兆円に上っている。

そして第三段階の措置が、12月19日に発表された「生活防衛のための緊急措置」37兆円(生活対策の内の6兆円を加えて総額43兆円)である。


(第三段階の生活防衛のための緊急対策総額43兆円の中身は大きく二つに分かれており、①財政上の対応として10兆円、②金融面での対応として33兆円程度の規模である。)


政府がこれまで公表した数字は、その時々の経済情勢に応じて、臨機応変に、時には既に公表済みの対策を含めて発表したりしていたため、多少混乱していた。

したがって、読者の皆さんも、麻生内閣が現在の経済危機に具体的にどのように取り組んでいるのかよく分からなくなっていた方が多いのではないかと思う。


以上の三段階の経済対策を合計すると、重複分を除いて、約75兆円になる。

(これをさらに精査すると、財政措置で12兆円程度(GDPの2パーセント程度)、金融措置で63兆円程度である。)


ちなみに、財務省の資料によると、アメリカはGDPの約1,1パーセント、イギリスは約1,4パーセント、欧州は約1,5パーセントの財政措置を実施する、いうことであり、日本の取ろうとしている財政措置は諸外国と比較しても遜色がない、かなり思い切ったものであることが理解されよう。


もっとも、ご案内のとおり、第二段階、第三段階の経済対策を実行していくための予算は、まだ国会に提出されていない。

第二段階の「生活対策」(26,9兆円)は、来年1月5日に提出予定の第二次補正予算案(4,7兆円)に、さらに第三段階の「生活防衛のための緊急対策」は、まだ提出時期が決まっていない来年度の予算案(88兆5480億円)にそれぞれ織り込まれることになっている。

まだ、絵に描いた餅である。


麻生内閣は、来年度の予算を、「国民生活と日本経済を守るための予算」と位置づけている。

その基本的な考え方は、次のとおりである。

「100年に一度と言われる世界的な経済金融危機の中、国民生活と日本経済を守る観点から、『当面は景気対策』、『中期的には財政再建』、『中長期には改革による経済成長』の3段階で、経済財政対策を進める。」

「当面は景気対策との観点から、20年度第一次補正予算、第二次補正予算、21年度予算と切れ目なく連続的に施策を実行する。状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行う。」

「国民生活と日本経済を守るために必要な施策については、財源を確保した上で、確実に実施する。」

「基本方針2006等に基づき歳出改革を継続し、財政健全化に向けた基本的方向性を維持する。」

「重要課題推進枠の活用などにより予算配分の重点化を実施する。」


明らかに政策の舵を切った。

麻生内閣だからこうした政策転換が出来たのだと思う。

大したものだと思う。


しかし、この一連の経済対策を理解するのは、一般の国民には容易ではないだろう。

私にしたって、それこそ配布された資料のあちこちを見ないと分からない。

正直、沢山の数字が羅列されていると、見るだけでうんざりする。

説明が正しいのか間違っているのか、を見分けることも、難しい。


大抵の議員は、自分が理解できるところだけを切り出して理解しようとする。

残念ながら、私も財務省の出身者と較べれば、こうした数字の裏にあるものを見分ける力が劣っている。

だから予算については、特に口を出さないようにしてきた。

しかし、これからはそうは行かないようだ。


なにしろ、私でも名前を知っている財政学者が、「日本の財政は既に破綻している。」、そう叫んでいるのである。


もう他人任せには、出来ない。

皆さんと一緒に勉強していきたいと思っている。

よろしく。