事務所費問題を考えるポイント | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

太田農水大臣の事務所費問題が新聞各紙で大きく取り上げられている。


政治資金規正法上の事務所費の定義が問題の根底にあるのだが、今のところ、マスコミは事務所費イコール事務所賃料プラスアルファ程度の認識のようで、賃料の支払いをしないで何で事務所費なんだ、といかにも事務所費の支出自体が違法であるかのような決め付け方をしている。


別に太田大臣を庇うつもりはないが、いかにも太田氏が不正を働いているかのようなマスコミの報道振りには、とりあえず異議を述べておきたい。


まずは、本人の弁明を聞くべきである。


政治資金規正法施行規則(第7号様式)記載要領には、事務所費について、「事務所の借料損料(地代、家賃)、火災保険金、電話使用料、切手購入費、修繕料その他これらに類する経費で事務所の維持に通常必要とされるものをいう。」と記載されている。


事務所の維持に通常必要とされる経費とは何ぞや、という問題になるが、これまでの政治団体の経理では、政治活動費に分類されない経費で、人件費や光熱水費、あるいは備品・消耗品費に該当しないその他の経費がすべて事務所費として処理されてきたようだ。


ずいぶんいい加減な経理だな、と思われるだろうが、政治資金規正法は、もともと政治団体を収入面からチェックすることに主眼を置いていた。


支出項目が適正かどうか、などということには余り関心がなかったようで、極めて一般的な、人件費、光熱水費、備品・消耗品費以外はすべて事務所費に一括計上されてきたようだ。

会計の専門家でも迷うような、さらには、選挙管理委員会によって解釈が異なるような、かなりアバウトな法律が政治資金規正法だったのである。


ということで、事務所関係者の福利厚生費や交通費、飲食費や弁当代も事務所費として処理されており、不動産の取得経費も、これが事務所の用に供するものであれば事務所費として扱われてきたようである。

民主党の小沢氏のマンション等の取得費なども、事務所費の中で処理されてきたのではないか。


政治団体がいつ、どこで、どんなことに、いくら使っているか、についてまでは関知しない、あるいは、関知すべきでない、という、ある意味でおおらかな、そして金銭面ではかなりいい加減な時代に育った政治家や経理担当者が、それまでの慣例に従ってした経理処理が、今、問題になっている。

現在の感覚からすれば驚くようなことが罷り通っていた時代に太田氏が育った、という一つの証左であるが、それが違法かどうか、不正にあたるかどうか、については、軽々に判断しないほうが良かろう、というのが、私の率直な感想である。


いやはや。