消費者庁問題を考えるポイント | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

福田内閣の最大の使命は、あらゆる政策の棚卸しだろう。


現在の捩れ国会では直ちに大きな成果、目に見えるような結果は出せないだろうが、棚卸しの成果を次、あるいはその次の内閣に引き継がせることは出来る。


そういう息の長い、困難な作業に全力で取り組むことに、福田改造内閣の真価が懸かっている。

私は、そう思っている。


さて、こうした政策の棚卸しの中で、なんとしても実現したいのが、消費者庁の設置である。

民主党の枝野氏は消費者庁の設置に代えて、オンブズマン制度の導入を主張しているようだが、どうも主張するタイミングを誤ったようだ。

今のままでは、枝野提案は、消費者庁設置構想を潰すための、反対のための反対提案にされてしまう。


霞ヶ関の縦割り行政を見直すツールとして既存の行政を消費者や一般国民の視点から総点検する、という今回の消費者庁構想は、どんなにその意義を強調してもし過ぎるということはない。


既存の官庁から消費者関連の法律の所管を消費者庁に移管する、ということが、官僚の意識改革にどんなに重要なことかは、役所の中に入ったものであれば良くわかることだ。

もっといい方法がある、などと周りで騒いでいても、現実の行政を動かした経験のない人の提言は、迂闊には乗れない。


人、もの、金、権限の全般にわたって周到な検討を経た提言であれば、これに乗ることも吝かではないが、外国のオンブズマン制度を聞きかじった程度の知識で日本の行政組織の大改革を提唱されても、危うくて見ていられない。


自民党の場合は、消費者問題調査会を設置し、20数回の会議を開催し、様々な団体や専門家の意見を聴取し、各役所からのヒヤリングも実施し、そのすべてのプロセスを公開し、自民党の若い国会議員の意見も十分反映されている。


しかし、残念ながら民主党の場合は、ごく少数の人たちの間で政策決定が行われているようであり、国民受けを狙った提言になりやすい。

政治家としての経験が浅い人が多く、結果的に現時点では政治家の層が薄い、ということから来る、止むを得ない結果であるが、福田内閣の手柄にさせたくないからあえて対案を出す、などということは考えないほうがいい。


組織を作っただけでは日本の改革が出来ないのは、よく承知しているはずである。

この先に本番が待っている。


これからの長丁場を考えると、ここは、小さく産んで大きく育てる、という格言に素直に従ったほうがいい。


この一歩を踏み出せるかどうか、で日本の将来が大きく変わるのである。

聡明な枝野氏の賢明な判断を、心から期待する。