運命の赤い糸 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

運命の赤い糸がある、ということを知った。


今日は時間があるな、と思って新聞の映画欄を見ていたら、「帝銀事件ー死刑囚」という映画が池袋の新文芸座で上映されるという。

しかも本日まで、とある。


あの平沢貞通の事件については司法修習生時代に検察教官から話を聞いたことがあり、この際どんな事件だったか検証してみたい、と思い、時間を遣り繰りして今日は映画鑑賞日にした。

映画は既に始まっていたが、上映していたのはもう一本の「日本の黒い夏ー冤罪」という映画だった。


どうやら新しい映画のようだな、と思って観ていたが、どんどん引き込まれていった。

あの松本サリン事件の第一通報者の河野義行さんを扱っていた。


警察の見込み捜査とマスコミの報道でサリン事件の被害者の河野さんが犯人扱いされていった状況が見事に再現されていた。

14年前の事件である。


当時、私たちもてっきり河野さんが犯人じゃないかと思い込まされたものだった。

大変な人権侵害に警察もマスコミも、さらには一般の市民も加担していたことをありありと描いた、いい作品だった。


先日河野さんの奥様が14年間の闘病の甲斐なく、お亡くなりになった、というニュースを見たばかりであった。


6月15日に閉会した通常国会の終盤でオウム犯罪被害者に対する給付金支給法を成立させたばかりで、辛うじて国としての見舞金支給法を成立させることが出来てよかった。

河野さんのご家族のこれまでのご労苦やご心痛を考えると、本当のお見舞いにはならないかも知れないが、それでも、なにがしかの慰藉になればいいな、と思っていたところであった。


よく案内を見れば、この映画の上映は今日一日限り。

新聞の映画欄に本日まで、とあったのは、実は、今日だけの上映ということだった。


よくぞこの映画を作ってくれた。

この映画を観ての私の最初の感想は、そういうことだ。

よくぞ今日、映画を観に行く気になった。

新聞の映画欄に目を通した自分が、偉かったような気になってくる。


こんな風にして思いがけない出会いがある。


運命の赤い糸。

確かにそれは実在する。


(「帝銀事件ー死刑囚」もいい作品だった。いずれも熊井啓監督の作品である。)