よく、こんなことを考え付いたね。
さすが法律の専門家だ。
これを皆が待っていたんだ。
歴史的な快挙だよ。
画期的、とは、こういうことを言うんだ。
そんな言葉は返ってこないが、そう言われてもおかしくないような新しい法律がこの通常国会に提出される。
中小企業の事業承継を円滑化するための法案だ。
今年の税制改正で、中小企業の自社株に係る相続税を80パーセント免除する、という方針を確定した。
具体的には、事業の後継者が取得した自社株式の相続税の80パーセントの納税を猶予し、相続から5年間雇用を確保し事業を継続すれば、最終的に猶予分の税額を免除する制度である。
現在1年間に約29万社が廃業しているが、その内、後継者不在によるものが7万社あると言われている。
これによって20万人から30万人の雇用が失われているというから、雇用の場を失う労働者にとっても深刻な事態である。
勿論、事業が廃止されることで地域の資源が失われることにもなり、私はもったいないことでもあると思っている。
中小事業の経営者にとって長年の悲願であった事業承継税制の抜本改革が、これで実現することになった。
この事業承継税制の抜本改革を支えるのが、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」である。
この法律の柱は、3本ある。
第1の柱が、相続が発生する前に相続権を持っている推定相続人の間で事業の承継に関する契約を書面で結び、経済産業大臣の確認を得るものとしていることだ。
推定相続人の全員の契約で予め事業の後継者を決めておけば、相続に伴う争いを最小限にすることが出来る。後継者に選ばれた人は安心して事業に専念することが出来るだろう。
自分の目一杯の力を発揮してこそ、事業は発展する。
口頭の約束で自分が後継者だと思って頑張っていても、経営者の気分で気ままに後継者が変えられたのでは、後継者に擬せられた人が可哀相だ。
事業承継契約を予め経営者の家族の間で結ぶようになる、というのがいい。
これで法律というものに馴染みが深くなるだろう。
事業承継ということに無関心、無防備だった経営者の意識もこれで大きく変わってくる。
自分が育て上げた事業の基盤を大切にしたい。
物を大切にする気持ち、もったいない、と思う気持ちを自然と育んでいくと期待している。
この事業承継契約の締結を経済産業省をはじめ、さまざまな団体が支援、奨励する、とう仕組みになっているのもいい。
どんないい制度でも利用されないのでは、絵に描いた餅になってしまう。
いい制度だということを国民によく理解してもらえるような仕組みを作っておかなければならない。
商工会や法人会、税理士会などが十分役立つような仕組みになっているのが、素晴らしい。
事業承継契約を結ぶと、どんないいことがあるのか。
これが一番大事なポイントだ。
事業承継契約を結ぶ、ということは、後継者に経営者の株式を贈与する、ということと一体である。
その贈与によって取得した株式を、相続が発生したときには、他の相続人からの遺留分減殺請求権によって他の相続人に一部渡さなければならない、ということになったらどうだろう。
後継者の経営者としての地位が不安定になることは、明らかだ。
だから、遺留分の算定の基礎となる相続財産に、贈与によって後継者が取得した株式は算入しない、とすることが重要になる。
そんなことが出来るのか、というのは、まさにこの点である。
この法律で民法の特例を作るのである。
これが民法に定められた遺留分に関する規定の特例である。
遺留分に関するもう一つの重要な特例も定められている。
民法の相続に関する規定では、相続が発生する前に経営者から法定相続人に贈与された株式について、いつまでも遡って遺留分減殺請求が出来ることになっている。
しかも相続財産の評価額は,相続の時点ということになるから、株の贈与の時には1株500円であったものが、相続発生時には1万円になっている、などということはザラにある。
そこで相続財産を分割しようとすると、不動産や現金よりも株式の評価額の方がはるかに高い、ということにもなる。
結局後継者が贈与した株式を処分したり、他の相続人に引き渡さなければならない、ということになってしまう。
そういう事態にならないですむように、遺留分を算定するための財産に算入する株式の評価額を事業承継契約を結んだときの額に固定することが出来るようにしている。
勿論その額は、弁護士や公認会計士、税理士などの資格を持った人が相当な額として証明したものでなければならないが、こういった専門家が関与することを前提とする制度だから、この事業承継プランは社会的な安定性と相当性を兼ね備えたものものだと思っている。
こういう制度にすると、結局非上場の株式について契約に基づく遺留分の放棄を認めることと同じことになる。
現在、遺留分の放棄については、法定相続人が全員で家庭裁判所に相続放棄の審判を求め、家庭裁判所の許可を受けなければならないことになっている。
しかし、この法律に基づく中小企業の事業承継契約については、次のような制度にした。
すなわち、事業承継契約については、契約から1ヶ月以内に経済産業大臣の確認を得るものとする。
経済産業大臣の確認が得られた場合は、その確認から1ヶ月以内に、後継者単独で家庭裁判所に事業承継契約の許可を申し出る。
家庭裁判所は、この事業承継契約が当事者全員の真意に基づく契約であると判断すれば、これを許可する。
事業承継契約は、家庭裁判所の許可で契約どおりの効力が生じる。
法律的にはなかなか説明が難しいが、慣れてしまうとこんなに素晴らしい制度はない、ということが分かってくる。
これが本当に実現すればいいですね。
そう声がかかる。
これが仕上がれば、早川さんの仕事は終わったようなものですね。
オイオイオイ。それはないでしょ。
まだまだ、これから、これから。
そんなに早く退場させないでよ。
それが、私の本音である。
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