昨日の朝霞市商工会の賀詞交歓会でのこと。
ひととおり来賓の挨拶が終わり、バンド演奏が鳴り響く中での懇親会で、懸命に私に話しかける税理士さんがいる。
「現場の事業者は悲鳴を上げています。物は売れない。原材料の値段は上がる一方。大変です。ガソリン税を減税して、ガソリンの価格を下げないと、自民党は選挙に勝てませんよ。」
来賓としての私の挨拶に対する反応が、これである。
私は、次のように挨拶した。
「暫定税率を維持しなければ、国、地方それぞれに巨額の歳入欠陥が生じることになる。
埼玉県では圏央道の完成が20年も遅れることになる。
これから10年以内に地元の懸案の254バイパスを完成させる。
それが私たちの悲願であり、今年がそのための大事な転換点である。
しかし、暫定税率が廃止されると、254バイパスの完成などいつになるか分からなくなる。
年度内に租税特別措置法の改正を実現し、まず歳入を確保する必要がある。
激しく変動する世界経済の中で、ますます日本の経済運営の舵取りが難しくなっている。
この危機を突破していくためには、政治の安定が重要である。
与野党の立場の違いを乗り越えて、なんとしてもこの危機を突破してまいりたい。
本日出席されている民主党の議員さんにも、是非ご理解いただきたい。
この通常国会は、商工会の皆さんにとっても極めて重要な国会である。
中小企業の事業承継円滑化法を是非とも成立させ、事業者の経営基盤の安定を図り、国民の生活の向上と地域の発展に貢献してまいりたい。」
この税理士さんは、特殊同族株式会社の役員報酬の経費不算入問題が発生したときに、地元税理士有志を代表して激しい抗議をしてきた人である。
税理士会の幹部がかつて私のライバルであった上田知事の後援会の幹部を務めていたこともあり、どちらかというと選挙では民主党の応援団の側にいる人のようだが、陳情になると遠慮がない。
自分の言いたいことを言い募り、私を離そうとしない。
ああ、この人は、結局、自民党に対する批判を言い募るだけ。
中小企業の経営者の一番身近なところにいて政治に対する不満や批判を聞いてきたから、どう説明しても納得することはないのだろう。
いざ選挙、ということになったら、自民党政治への不満、批判を表明するということだけのために、自民党に反対する政党の候補者に投票するのだろう。
そう、思わざるを得ない。
どんなに丁寧に説明しても、自分の言いたいこと聞きたいことしか、この人の耳には入らないようだ。
とは思うものの、税理士という立場にいる人の発言は、私たちとして重く受け止めておかなければならない。
中小企業の現場は、こんなにも悲鳴を上げているのである。
理性的な説得など通用しないほどの、大きな悲鳴である。
おそらくシャッター通りが続いている地方都市では、もっと切実な声が上がっているだろう。
これが地元の現実である。
この状態では、何をやっても自民党は批判されるだけである。
政権の座に座るものの宿命として、私たちはこのことを甘受する必要がある。
しかし、どうやったら日本の経済を逞しく蘇らせることが出来るか。
どうやったら中小零細企業の経営者の不安を解消できるか。
どうやったら一人ひとりの勤労者の生活が豊かになるか。
その処方箋なしでは、とても国民の審判を受けることが出来るような状況ではないことは、明らかである。
それでもガソリンが値下げになった方がいい?
あらゆる説明、説得をしても、こんな答えが返って状況だとすると、これは容易ならざる事態である。