赤城大臣の後援会事務所費問題が新聞各紙で取り上げられている。
野党から鬼の首を取ったかのように赤城大臣の辞任を迫る声が上がっている。
マスコミは、何か誤解しているようだ。
自分たちが正義の代弁者で、政治家は、あたかも、金まみれの、汚れた存在かのように報道する。
過去10年にわたって、赤城氏の関係するすべての団体の政治資金収支報告書を調べ上げ、納得がいかなければ疑惑があるかのように報道している。
もっと冷静になって欲しい。
政治資金収支報告書の記載について責任があるのは、基本的に政治団体の会計責任者である。
政治資金収支報告書の明細について政治家が知っている可能性は殆ど無い。
せいぜい政界でもっとも几帳面で細かいと言われる伊吹文部科学大臣ぐらいなものであろう。
大半の政治家は、政治活動を続けるための資金集めには汲々としているが、その支出には関わっていない。
収支報告書の作成は専門家でも良く間違えると言われる。
選挙管理委員会に聞きながら報告書を作成している人が多い、とよく聞くが、こういう煩雑な仕事に政治家が関わっていては、政治家としての本来の活動も出来なくなろう。
赤城大臣がマスコミから不意打ちのように事務所費の記載内容について質問されても即答できないのは当然である。
しかし、マスコミはこれを許そうとしない。
答えられないのは、そこに何かおかしなことがあることがあるからだ、と即断する。
1紙が報道すると、他紙がさらに追い討ちをかけるように大きく報道する。鵜の目鷹の目でスクープの材料を探しているマスコミは、こうして一人の政治家の政治生命を奪うまで徹底的にスクープ合戦に走っていく。
危険な兆候である。
マスコミはもっと慎重であって欲しい。
何が違法なのか、よく見極めてから記事を書くべきである。
政治団体の事務所費の報告については、領収書の写しの添付までは義務付けされていないのが現行法である。
過去の報告の明細が分からないからといって、帳簿の保存期間が経過したものまで説明を求めるのは如何だろうか。
実家に政治団体の事務所が登録されていることを根拠に、政治団体の活動実績がない、事務所費の記載がおかしい、などと決め付けているが、果たしてどうだろうか。
事務所費の大半は人件費である。
後援会活動の大半は、文書の作成や通信事務、あるいは各種会合の開催であろう。
後援会の代表者として登録された本人自身は後援会活動の具体的内容を把握していなくとも、赤城大臣が強固な後援会に支えられて当選を重ねてきたことは、周知のとおりである。
その支出が架空ではないことは、いずれ明らかになると思う。
いずれにしても、人件費については、これを公開することまでは強制されていない。
政治活動の自由を保障する現行憲法の下で、政治団体の政治活動の詳細まで、国民に開示し、あるいは報告する義務まで課されていないことも、自明の理である。
政治活動の原点である、政治家の後援会活動の細部まで知らなければ納得できない、という現在のマスコミの報道振りは、政治家の政治活動をすべてマスコミの監視下に置こうとしているように映る。
こういったマスコミの行き過ぎが、民主政治の基盤を少しずつ崩していく。
参議院選挙を目前にして、なんとしても安倍内閣の粗探しをし、自民党の候補者の足を引っ張るような材料を仕立て上げようとしている現在のマスコミは明らかにおかしい。
こんなことが罷り通るようでは、わが国の議会制民主主義はやがて崩壊への道を辿ることになる。
この道は、いつか来た道。
かつての軍部の役割を日本のマスコミが果たそうとしているのか。