女帝が女性原理の象徴なら、「皇帝」は男性原理の象徴です。


絵は、男性の皇帝が座っているところです。「女帝」が柔らかく座っているのに対して、どこか威厳がありますね。現世的な成功を収めた皇帝は、権力や物質に満たされています。物事を安定させることに責任感をみなぎらせながら、どこか権力者としての孤独も感じさせる…そんな印象です。


4の皇帝4番目だけに「四角形」の安定を表すと解釈されることがあります。つまり、3の女帝の女性的な統合や安定に、物質的現実的安定を与えたものといえます。そういう意味では女帝と対になる、父性のカードと言えるでしょう。


よく与太話で男性は恋愛においても現実的と言いますが、それは現在の安定を揺るぎ無きものにするための責任感から来るものなのかもしれません。そう考えると男性原理の本質が少し垣間見えるのではないでしょうか。


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さて、「女帝」です。女皇帝という言い方もしますね。


リラックスした女性が屋外で椅子に腰掛けている絵です。女教皇よりも安定感や優しさを感じることができます。


これは大まかに言って、2の女教皇で現われた「二元性」や「緊張状態」が、3の女帝によって統合され安定していく、という解釈の流れが成り立つでしょう。


特に、子供、家庭、妊娠、などの意味まで含めた母性の安定感です。。まあ、他のカードを見渡してもそういう意味での「女性性」を扱ったものはないですから、このカードに集約されます。


女性的女性としての幸福とはなんでしょうか?よく「母なる大地」なんて言い方をしますし、女性、母性で喩えられる事象はたくさんあります。収穫と豊穣、つまり豊かさ…私が思うに、精神的な豊かさとは「余裕」であり、「余裕」のなかに豊かさが生まれていく。その象徴であるように思います。


子供はみんな、母親から生まれ落ちます。そういう意味で、世界が始まったばかりのときに混沌とした状態でいつも救いとなるのは母のむき出しの純粋な愛なのかもしれません。


ともかくこのカードは指折りの吉兆カード。でも逆位置で出たとき否、定的な意味での「マザコン」と断じてしまう解釈もあるようですね。


タロットMerryGoRound―愚者の世界旅行―-女帝

世界が魔術師によって創造されました。さてさて、世界がようやく動き出します。


知性と理性を兼ね備えた聡明な「女教皇」が座っている絵です。何かが創造されれば、それは必ず陰と陽、光と闇の一対で生まれます。描かれた白と黒の柱はその二元性を表し、このカードはそこから生まれる「緊張状態」を表します。また、「均衡」そして「知性」


なんだか難しい話しになってきましたね。
分かりやすく言えば、例えば…善と悪に分かれ、その二つは常に対立もしますが、その二者は別々のものではなく表と裏の関係にあります。両者は常に緊張状態を保ちながら、共存していくしかないわけです。世界はたったひとつの価値観で動いていくわけではないのですから。


このカードが意味するものはずばり、
一方では緊張に影響されかねない女性的な精神性や不安。そしてもう一方の意味ではそういう不安を上手の乗り越える人の知恵や良識を示しています。


この解釈自体が表裏一体となってますし、のちのち解説することになるでしょうが、タロットカードの正位置・逆位置の表裏関係にも通ずるところがあります。


私はこの「女教皇」が表す二元性を表裏一体と解釈したとき、タロットの謎が少しは解ける気がしています。これは私のオリジナルの解釈ですが…


ともかく、創造された世界は緊張状態にありながらもスタートしました


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