朗読と箏で物語空間をつくる
『源氏物語の女君たちⅠ 桐壺』
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結婚したころ、
隣に夫の祖母が住んでいました。
当時80代でしたが、シャレたカッコいい
女性でした。
利子さんといいました。
毎年海外旅行に行ったり、
流行りの映画を一人で見に行ったり。
なにより物事の好き嫌いが
はっきりしているのが気持ちよかった。
ある日私が作った海老のチリソースを、
あなた、お店のより美味しいわよ、
と誉めてくれ、有頂天に!
かと思ったら、何かのプレゼントに
私が選んだ、和風のマグカップを見て、
この柄のマグカップは、良くないわねぇ。
と言われたり(笑)
そんな利子さんからもらった
大切なものがあります。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240618/21/gusuto-de-piro/b4/f6/j/o0612081615453187977.jpg?caw=800)
谷崎潤一郎が現代語訳した、
『源氏物語』。
写真は第一巻ですが、宇治十帖も含め
全巻揃っています。
昭和14年刊行のものです。
朗読をやっているなら、
全部あげるわ、
といって。
感激したものの、
いやあ、難しそうだな、と
納戸の引き出しに大切に
しまっておきました。
まさか、こんなに時間が経って
この本をめくることになるとは。
大変装丁の凝った本で、
文章のリズムが美しく、
さすが谷崎潤一郎、、と。
今回の公演では場面によって
4人の現代語訳をお聞きいただきますが、
谷崎潤一郎訳も読みます。
ただ、さすがに昭和14年の本は、
訳でも難しく、「新々訳」の谷崎訳で
お届けします。
ずいぶん時間がかかってしまいましたが、
利子さんにも届くよう、
頑張ります。