源氏物語の女君たち③ | gusuto de piro|松浦このみ Official Blog

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朗読と音楽で空間をつくる「gusuto de piro~グスト・デ・ピーロ」主宰、「松浦このみ」のOFFICIAL BLOGです。

朗読と箏で物語空間をつくる
『源氏物語の女君たちⅠ 桐壺』
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結婚したころ、

隣に夫の祖母が住んでいました。

当時80代でしたが、シャレたカッコいい

女性でした。

利子さんといいました。


毎年海外旅行に行ったり、

流行りの映画を一人で見に行ったり。


なにより物事の好き嫌いが

はっきりしているのが気持ちよかった。

ある日私が作った海老のチリソースを、

あなた、お店のより美味しいわよ、

と誉めてくれ、有頂天に!


かと思ったら、何かのプレゼントに

私が選んだ、和風のマグカップを見て、

この柄のマグカップは、良くないわねぇ。

と言われたり(笑)


そんな利子さんからもらった

大切なものがあります。


谷崎潤一郎が現代語訳した、
『源氏物語』。
写真は第一巻ですが、宇治十帖も含め
全巻揃っています。
昭和14年刊行のものです。

朗読をやっているなら、
全部あげるわ、
といって。

感激したものの、
いやあ、難しそうだな、と
納戸の引き出しに大切に
しまっておきました。

まさか、こんなに時間が経って
この本をめくることになるとは。
大変装丁の凝った本で、
文章のリズムが美しく、
さすが谷崎潤一郎、、と。

今回の公演では場面によって
4人の現代語訳をお聞きいただきますが、
谷崎潤一郎訳も読みます。
ただ、さすがに昭和14年の本は、
訳でも難しく、「新々訳」の谷崎訳で
お届けします。

ずいぶん時間がかかってしまいましたが、
利子さんにも届くよう、
頑張ります。